2021年8月28日

P-CFO 石川 美寧子さん

外資系企業CFOの片腕 “FP&A”としての経験を武器に
パートナーCFOとして独立。

パートナーCFO
石川 美寧子(いしかわ みねこ)さん

今回ご紹介するのは、パートナーCFO養成塾の第3期生(2020年6~11月)の石川美寧子さんです。

パートナーCFO養成塾、フルサポートを受講しつつ、個人事業主として仕事をスタート。現在、フルサポートをリピート受講しつつ、よりご自身の経験を活かした“自分らしいパートナーCFOの形”を目指し奮闘中の石川さんに、養成塾やフルサポートでの具体的なエピソードを交えつつ、今のお仕事について伺いました。

【プロフィール】
パートナーCFO
大阪府出身。IT企業の開発部門アシスタント、PCスクールのインストラクターを経て、日系企業の営業本部、経営企画部でデータ分析・資料作成に従事。直近では外資IT企業のCFO直下のチームでFP&Aとしてグローバル経営層へのレポーティングに従事。豊富な財務・営業レポート作成経験を活かした経営数値の分析と見える化、事務業務の効率化で経営者をサポート。“経営者が安心して主業務に専念できる”パートナーCFOとして活躍中。

外資企業のFP&Aを経て、「もっと経営層に近いポジションで仕事をしたい」という思い

「これまでどんな仕事をされてきたのか教えてください」

直近では外資IT企業のファイナンス部門のFP&Aというポジションで仕事をしていました。CFO直下のチームで、日本の数字の取りまとめと、そのレポートをグローバルチームに提出することが仕事でした。さらにCFO自身のアシスタントも兼任していました。 それ以前もIT系企業を中心にずっと事務職をしていていました。開発部門のアシスタントや、総勢10人の小さい会社で一人事務員として、なんでも屋さんとして仕事をしてきました。振り返ってみると、“会社の数字をまとめてレポートを作る”という作業自体は、どの会社でも共通してやっていましたね。

「実は、私は石川さんにお会いしてFP&Aという仕事を知りました。グローバル企業ではCFOの近くで働く存在なのですね」

実は私も直近の外資での仕事に応募するときに知りました。日本の企業にはないポジションですよね。

<FP&Aとは>
Financial Planning & Analysis(ファイナンシャルプランニング&アナリシス)の略。
海外の先進企業では、経営の意思決定を支える機能として「FP&A」という部門がCFOの傘下として確立されています。
「分析、予測、計画の策定、業績報告といった業務を通じて、経営や事業の意思決定プロセスに貢献する」というのがFP&Aの主な業務で、日本では経営企画部門や社長室でその機能を担っているケースや、経営管理部門、または事業部の企画・管理部門で行っているケースなど様々 (日本CFO協会HPより一部抜粋[https://www.cfo.jp/fp_and_a/])

「定年に関わらず働きたい」会社に属さない働き方を求めて

「養成塾に入られた当時『今は無職です』とおっしゃっていましたが、養成塾に来ようと思ったきっかけを教えてください」

実は外資IT企業は退職後、事情がありしばらく家庭のことに専念していたのですが、ちょうどそちらが落ち着いたので『そろそろ私も働かないと』と考えていました。 

ただ、私はバブル世代なので、バブル崩壊や会社倒産、リストラなどを経験しています。もちろん、それらは会社の都合なので仕方がないのですが、『もう会社に振り回されるのが嫌だな』という感覚をすごく持っていました。それに、私は50代半ばなので、普通の会社だと60代で定年を迎えてしまいます。私は定年以降も仕事をしていきたいと考えていたので、『会社に所属するよりは、自分で仕事をしていきたいな』という思いがムクムクとわいてきていました。

「なるほど、独立して個人で仕事をすることを考えていらっしゃったのですね」

最初はリモートアシスタントとして、いわゆるセクレタリーのような仕事をしていこうと思っていましたが、実際に単発でプロジェクトの事業分析などをする中で、単なるアシスタントではなく、もっと経営層に近いポジションで仕事をしたいなとすごく考えるようになりました。そういうポジションで、どんな仕事があるの?と考えていた時に、ちょうどパートナーCFOの説明会、オープンセミナーの案内が目に入ったんです。

個別面談で「自分の方向性が見えそう」と確信

「パートナーCFOのオープンセミナーはいかがでしたか?」

初めは『士業の方向け』という印象を持っていたので、私には敷居が高いかな?と思ったものの、『一応経験として話を聞いてみよう』と思って参加しました。

実際に参加してみると、高森さんが『全部できなくても良い。ご自身の経験しているところをより磨いて売りにして、いろんなパートナーCFOがいますよ』というお話をされていて、『あれ?もしかしたら私にもできるのかも…』と思い始めたんです。 ただ、それでもまだ不安はあったので、オープンセミナー後の個別面談もお願いしました。実はそれまで「フリーランスのアシスタント」では理想像をイマイチつかめずにいたのですが、パートナーCFOのお話を聞いていて、こういう方向性を持つのもありだなと思いました。

「個別面談も経て受講を決められたのですね。養成塾とフルサポートに申し込まれた一番の決め手は何ですか?」

一番の決め手は、個別面談の時『ここで自分の方向性が見つかるんじゃないか』と思えたことです。

オープンセミナーではCFO8マトリックスが特に印象的で、養成塾の講義でしっかりと全体像をつかめそうだな、パートナーCFOとして深い話がきけそうだなということはわかりました。ただ、私は経営者のパートナーとしての会社全体の見方について知識が全くなかったので、講義を聞くだけで実践するのは私にはおそらく難しいなと思い、フルサポートにも申込むことにしました。

フルサポートで、何かあった時に聞ける人がいる安心感がある、ということは結構大きかったです。それに、純粋にこの養成塾を提供している高森さんがフルサポートで一体何をやるのか?ということに非常に興味がありました

予想よりハード!?けれどリピートしたくなるフルサポート

「実際に養成塾やフルサポートを受講されてみて、いかがでしたか? 受講前に期待していたことや、実際に受講されてみて感じたことを教えてください」

そもそも、受講生はみんなそれぞれ違うパートナーCFO像を持っていて、今の仕事や働き方も、目指すものも独立起業や副業など異なるだろうなと思っていました。なので、フルサポートも、それぞれが自分の目標に向かって行動していくのを高森さんがサポートするというイメージでした。

受講前には、養成塾とフルサポートを受講しながら個人事業主として立ち上げて、1年後にはある程度動いているといいなという理想を描いていました。実際に始まってみると、最初は養成塾の講義と予習復習でいっぱいいっぱいでした。さらにフルサポートは想像以上に実務的で、結構ハード。スパルタでした(笑)。

例えばフルサポートは、グループコンサル(以下、「グルコン」)があり、前半は結構早い段階で『自分が何者か』『ターゲットはどういう人か』をアウトプットする機会がありました。それも深掘りして、どういうアクションをとるかという計画まで立てるので、正直なところ、『え!このタイミングでもうこれをやるの? 私はまだそこまで自分自身を深掘りできてないんですけど…』という感じで、内心戸惑っていました。

グルコンの後半の回では、自分の進捗報告だけではなく『今の時点で困っていることは何?』と聞かれます。本当は『全部です』と答えたいところでしたが、それでは『何も考えてないでしょ』と突っ込まれてしまうので、毎回どれから言おうかなと必死に考えていました。グルコンでは、自分のことを話すだけではなく、受講生同士でフィードバックをしあうので、大変刺激を受けました。

養成塾が始まって3、4か月位が経ち、自分なりの受講のペースが出来てくると、ようやく目標から逆算する余力も出てきて『だからあのタイミングでこれに取り組んだのか!』とフルサポートの内容が理解できてきました。

フルサポートはパートナーCFOとして活動していくために何でも話せる安心安全な場

「受講生同士でコメントをするのは、難しくはなかったですか?」

フルサポートでは、パートナーCFOとして活動していくのに必要なことを様々な観点から共有します。これまでの経験や思い、人生計画など、個人的なことも含めて。そのため、はじめはお互いに遠慮やプライドが入り混じっていたように思います。

それでも、高森さんが『で、どうなの?』とスパーっとパワフルに進めていかれるんですね。フルサポートでも養成塾同様に『ここは安心安全な場なんだ』という雰囲気を、高森さん自身が作ってくれていたように思います。それに、言葉の端々からも、私たち受講生を信用して色々出して下さっていることが伝わってきたので、これは『恥ずかしい』とか、『うまくいかないけど、どうしよう』とか、繕うような言葉を言っている場合じゃないな、と。グルコンも3,4回と回を重ねるうちに、私を含め皆さん安心して話せるようになっていきました。こんな風に、自分がパートナーCFOとして活動していくために必要なことを気にせず言える場を作っていただけたのは、非常にありがたかったです。

それからフルサポートでご一緒して、ご自身の状況や相談事をありのままに出してくださった皆さんにも、非常に感謝しています。皆さんが新規事業を立ち上げる経験を共有してくれたことは、私にとっても非常に貴重な経験となりました。

フルサポート受講2年目で目指すもの

「石川さんはフルサポートをリピート受講されていますね。ぜひ、リピート受講を決めたきっかけを教えてください」

私はすごく立ち上がりが遅い方なんです。フルサポートが1年終わる頃、自分が想像していた着地点にまだ行きついていないなという感覚がありました。

なので、実はフルサポートが修了したら、高森さんに継続して個人コンサルをお願いできないだろうかと考えていたところに、養成塾第4期のフルサポートの案内がありました。養成塾(オンライン受講)でもう1回学び直しができること、新たなメンバーで1年間グルコンできること、プラス高森さんの個人コンサル4回付きと1年目よりさらに充実した内容でした。

一度フルサポートを経験している私にとっては、年4回の高森さんの個人コンサルがあるのは、とってもありがたいです。毎月のグルコンの場でも相談できるので、合計すると高森さんに16回相談できることになります。確かに安くはないですが、これだけ相談できると考えると、むしろお得だなと思います。

それに、1年後に“やっぱりこの金額を出して良かったな”と思える状態になろうという、自分に対するコミットでもあります。

「第4期養成塾の講義もスタートしていますが、1回目の受講の時と違う気づきなどはありますか?」

一度聞いているはずですが、新鮮なことが多いです! 2回目に聞いたときに、改めて意味が理解できることもあったりします。新しく理解できたことについて去年の資料を見返すと、すでにメモを取っていた、ということもありました。

1回目と2回目で、耳に入ってくる言葉が違うので、2回目の養成塾受講も想像以上に良かったです!

「石川さんの場合は、養成塾とフルサポート受講をされて、この一年で蓄積があるからこそ、より多くの点に気づけるのかもしれませんね」

「経営者ヒアリング」でつかんだ、経営者のリアルな声とパートナーCFOとしての仕事

「養成塾の受講を決めてから1年が経ちますが、石川さんの今の仕事について教えてください」

まず養成塾受講中に、周りの個人事業主や会社経営者の方にヒアリングをする中で1件受注が取れました。次に、鍼灸院の経営者の方に、興味を持っていただいています。こちらは金額面でまだ受注に至っておらず、高森さんに相談中です。それから、高森さんからご紹介いただいた方に話をしたところ、トライアルで1件ご依頼頂きました。パートナーCFOとしてはこの3件ですね。

他にもフルサポート受講中にOJTとして事業再構築補助金に1件関わらせて頂きました。

プロとして「経営者が経営者としての業務に専念できる」ようサポートする

「ヒアリングから受注に至ったというお話は、気になるエピソードです。実際にどんな風にきっかけを作って、どのように仕事の話につなげていったのですか?」

パートナーCFOとして自分の仕事を考えていくにあたって、グルコンの中で高森さんから「経営者ヒアリング」をしてみては? とヒントをもらいました。そもそも経営者がどんな視点を持っているのか、どういうことに困っているのかを知るには、実際に話を聞くのが一番手っ取り早い、というわけです。

そこで実際に『こういう仕事をするようになったけれど、自分には経営者の経験がないので、経験者としてのスタンスや物事の見方、それから事務など実務での困りごとなど、勉強のために話を聞かせてください』と声をかけたところ、ほとんどの方から快諾頂きました。

実際のヒアリングでは、本業以外で手間を取られていること、面倒だと感じていることなどを聞いていきました。すると、経営者の方はご自身の事業のことはイキイキと話されるのですが、事務業務の話題になると途端に、話し方が一気にトーンダウンするんです。実際に話を聞いてみて、事務業務について困りごとや面倒を感じている人が多いことがわかりました。

私はずっと事務作業をしてきたので、話を聞いていると『かけていい時間と無駄な作業が混ざっているな』とわかり、時にはちょっとした改善提案をすることもあります。すると『わかってはいても、なかなかできないんですよね』という反応が返ってくることがあるので、『それなら私できますよ』という感じで話し始めます。『経営者は経営者の仕事をされるのがいいと思う。私は、経営はできないですけど、事務業務においては経験を持つプロなので、あなたより効率よくいい結果出せると思います。どうですか?』という風に提案すると、『なるほど』となります。

「具体的なアプローチで参考になります。石川さんが、これまでの仕事でいかに効率よく事務業務を行うかを考えてきたからこそ、言えることですね」

ありがとうございます。提案を聞いてもらって、即決でお願いされる場合もあれば、まだお願いするほどの量じゃないので、となることもあります。実際に契約につながるかどうかは、業務の量と費用との兼ね合いになりますね。

ただ、今契約に至らない場合でも、『困ったことがあったら相談していいですか』と言っていただくことも。自分にとっても勉強になるありがたい機会なので、もちろんお受けしています。ヒアリングをさせてもらった経営者の皆さんとは、これからもコンタクトを取り続けようと思っています。

目指すは外資系企業の給与越え。夫の定年後は自分が稼ぎ手に

「P-CFOとして学び始めて2年目となる石川さん、ぜひ、これからの目標やゴールを教えてください」

3年後にはパートナーCFOの仕事で前職の給与を抜きたいです。外資でそれなりに頂いていたので、これは一つ大きな目標です。それから、5年後にはちょうど夫が定年を迎えるので、そのころには年収1千万円いっているといいなというイメージです。

そのために、第3期フルサポート修了時に定めた具体的な目標は、1年で単発も含めて7案件、最低5案件に携わることです。単発の事業再構築補助金の支援も含めると、ほぼ4案件となるので、あと3案件はなんとかやりたいです。

「とすると、目標に対して着実に進められていますね。仕事の内容についても、目標があれば教えてください」

養成塾の中で、高森さんから『いきなり顧問の仕事が難しい場合、まずは自分で手を動かして実績を重ねて、そこから信頼を得て、徐々に顧問に移行するというルートもある』とお話されていました。私もまさに、いきなり顧問をする自信はなかったので、まずは自信がある仕事でお役に立てることから少しずつ足場固めをしていこうと思っています。

(編集後記)
石川さんには一つ一つの質問に丁寧、かつ的確にお答え頂き、短い時間で多くのお話を伺うことができました。

経営数字をまとめる業務について「自分はプロ」と言い切る姿がかっこいいです!メンバー以外は知ることのない、フルサポートの中の様子も、石川さんの観察眼のおかげでイメージがわきやすいなと思いました。これからのご活躍を楽しみにしています!

<取材・文>第2期生 溝上愛
取材日:2021年7月16日

【石川さんの仕事風景・仕事道具】