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P-CFO 鈴木 文崇さん

数字と法律の「二刀流」で企業の危機を救う
~現場に寄り添う伴走支援とパートナーCFOとしての進化~

弁護士・中小企業診断士
鈴木 文崇(すずき ふみたか)さん

今回ご紹介するのは、パートナーCFO養成塾第8期生の鈴木文崇さんです。鈴木さんは弁護士と中小企業診断士の資格を併せ持ち、企業の人事労務、事業再生・廃業、事業承継、M&Aなど幅広い案件に対応。父親の法律事務所に所属しながらも、ご自身の専門領域を確立し、大阪を拠点に東京や沖縄など広範なエリアで活躍されています。
法務に強い弁護士としての視点、現場に寄り添う中小企業診断士としての視点、それぞれを掛け合わせ、伴走支援において高い成果を上げている鈴木さん。パートナーCFO養成塾での学びを実務に直結させている軌跡と、今後の展望についてお伺いしました。

数字と法律を武器にする「二刀流」の支援~弁護士と診断士の相乗効果

鈴木:父親が弁護士をしており、私はその法律事務所に所属している形になります。ただ、父親とは業務を分けており、私がメインで担当しているのは企業様の人事労務案件や、事業再生・廃業の案件です。事業承継やM&Aの案件も少し手掛けていますね。
再生案件に関しては、中小企業診断士として関わるものから、弁護士として法的手続まで進めるものまで、幅広く対応しています。現在は、再生関連で経営改善計画を策定し、そのまま伴走支援に入っている企業もあります。現在、弁護士・診断士として10数社の企業に対し、年間契約の顧問として伴走支援を行っています。そのほか、東大阪の製造業などの顧問先でも支援を行っています。

鈴木:月によって変動が大きいですね。ある月は弁護士業務が7~8割で、残りが診断士やパートナーCFOとしての業務ということもあれば、別の月は弁護士業務が4~5割で、診断士関連が5~6割になることもあります。理想のバランスとしては、弁護士業務が6~7割、診断士業務が3~4割くらいがベストかなと感じています。再生案件などは両方の資格が2~3割重なる部分もあります。
診断士の業務は工数がかかりますが、その経験のおかげで弁護士業務の効率も上がっており、両方にやりがいを感じています。

鈴木:やはり、自分が立てた計画以上に売上が上がって利益が出て、職場がどんどん活性化していくのを見るときですね。伴走支援に入って、徐々に職場の雰囲気や社長の顔つきが変わっていくのを見ると、「自分が入ってよかったな」と心から思います。
支援において心がけているのは、地に足のついた、実行可能なアクションプランを作ることです。立派な提案でも、その会社が実行できなければ意味がありません会社の方々と対話しながら、彼らがいまできる範囲で最も効果の高い施策を選び、私も一緒に汗をかいてトライアンドエラーを続けることが大切だと思っています。また、初めての業界に入るときは、まず「業種別審査事典」でその業種の基礎を押さえ、業界団体のホームページや業界書籍で補強し、金融庁の「業種別の着眼点」などを参照します。診断士仲間にも相談しますし、それでもわからないことは経営者に率直に聞くようにしています。「知らぬは一時の恥」だと考えていますので、偉ぶらずに質問することが大切です。しっかりした成果物を出してあげれば、業界知識の不足は十分リカバリーできると感じています。そのためにも、常に自己研鑽を積み、様々な現場を見て、各社に最適なプランをカスタマイズできるよう努めています。

鈴木:基本的には、お客様から呼ばれたときに現地に行くスタイルです。コロナ禍を経てオンラインでの対応が定着したので、オンラインで済むものはオンラインで対応しています。
伴走支援の場合は、月に1回のペースで現地を訪問し、必要であればもう1回はオンラインで打ち合わせを入れるといった形で進めています。近隣のお客様であれば、私の事務所に来ていただくこともありますね。

【セミナー登壇の様子。多くの方が鈴木さんの話に耳を傾けます】

政治学科から弁護士へ、そして診断士取得へ ~「数字が読める弁護士」としての強み

鈴木:私は中央大学法学部の出身なのですが、実は法律学科ではなく政治学科に在籍しており、大学時代は法律の勉強よりも政治の勉強ばかりで、今でいう地政学のような分野を学んでいました。最近になって地政学がビジネスでも注目されるようになって、「ようやく世の中が追いついてきたな」という気持ちでいます。父が弁護士でしたので、いずれ自分もそうなるのだろうとは漠然と思っていましたが、なりたかったかどうかは別の話でした(笑)。

鈴木:司法修習生の頃、最初は検事になりたいと漠然と考えていました。検察修習に行った際、体育会系の雰囲気で、私にとってはとても良い職場だと感じた反面、「一度入ったら辞めにくい環境だな」とも思いました。いずれは父親の事務所を継ぐ必要があると考えていたので、結果的に弁護士の道を選びました。今となっては、現在の仕事の方が自分の肌に合っているので、その選択は間違っていなかったと確信しています。

鈴木:中小企業診断士を目指し始めたのは、弁護士になって1年目の頃です。義理の弟が公認会計士と中小企業診断士を持っており、東京で私と同じように再生案件を多く手掛けているのですが、彼から「診断士の資格はいいですよ」と勧められたのが直接のきっかけです。うちの事務所は会社関係の取引先が多いので、自分自身が経営の知識を持っておいて損はないと考えました。当時は20代で体力があったので、睡眠時間を削って勉強し、運良く短期間で合格できました。

鈴木:弁護士だけしか持っていない人との大きな違いは、やはり「数字が読めるかどうか」です。弁護士は経営や財務会計などを学んでいません。再生案件でもすぐに債権カット(返済額の減額)前提の計画を作りがちです。しかし、経営や財務会計を理解していれば、金融機関も納得する現実的な再生計画を立てることができます。
また、診断士の先輩方に、資料の魅せ方やExcelの使い方、分かりやすい説明の仕方を教えてもらったことは非常に大きな財産です。弁護士はExcelなどが苦手な人も多いのですが、私はなるべくExcel等で図表を綺麗にまとめて裁判所に提出するようにしています。その結果、裁判官から「先生の書面はすごくわかりやすいです」と言っていただく機会が増え、実際にそれが勝訴に繋がった案件もありました

【二刀流だからこそ、多くのテーマでセミナー登壇している】

パートナーCFO養成塾での学び~8マトリックスを活用した営業と提案力の飛躍

鈴木:以前からSNSの広告などで見かけており、いつか受けてみたいと思っていました。受講を決断した最大の理由は、受講前の年から中小企業活性化協議会経由などで伴走支援の依頼が急増したことです。現場での支援スキルはある程度持っていたものの、あらゆるフェーズの会社に対応するためには、自分の引き出しをもっと増やさなければならない強い危機感を感じていました。
思考方法やフレーム、ノウハウといったものは、僕らの仕事における「仕入れ」だと思います。だからこそ、仕入れをするなら、きちんと投資して質の高い講座を受けるべきだと考えました。養成塾は、自分が必要としているものを網羅していると感じ、高森先生の長年の経験に裏打ちされた実践的なノウハウを体系的に学びたいと思い、受講を決めました。

鈴木:最も大きな変化は、引き出しが圧倒的に増え、顧客への提案の幅が広がったことです。「CFO8マトリックス」を一通り学んだことで、自分のサービスを整理し、自分が何者であるかを顧客に説明しやすくなりました。それまでは、弁護士と診断士の両方に取り組んでいると伝えても、「結局何をしてくれる人なの?」という反応をもらうことがあったのですが、自身のこれまでの棚卸しを経て、説明がずっとしやすくなりました。
実務面での成果も顕著です。受講中の8~9月頃他の受講生がすでに8マトリックスを営業で使って好評を得ていると聞き、自分もすぐに試してみました。実際に紙やデータに落とし込んで説明資料として使い始めたのですが、顧客の反応が非常に良く、契約が取れる確率が明確に上がりました。お客様に「こういうことをしてくれるんだな」と価値を理解していただきやすくなった結果だと思います。

鈴木:最低でも受講料の倍以上の価値はあると感じています。得られた成果を考えれば、私自身はすでに投資した金額を回収し終えたと思っています。ただ、半年間あっという間で消化不良の部分もありますので、しっかり講座で学んだことを何度も見返して自分の血肉にして日々の事業者支援で実践しています。当時の資料を今も見返していますし、講座で紹介された書籍も読んでいます。講座はまだ終わっていないと感じています。

鈴木:CFO8マトリックスの最後に出てくる「再生・廃業」の領域は、まさに私が日常的に手掛けている分野でしたので、「やはりこれは強力なバリューになるんだな」と改めて確信できました。
一方で、スタートアップ向けの事業計画策定の講義では、普段自分が作っている緻密な計画と比べて、「スタートアップの場合はこのような粒度とスピード感で進めていくのか」という新たな発見もあり、各フェーズに求められるレベル感を把握できたのは大きな収穫でした。
また、高森先生の講義を通じて、一流の実務家がどのような目線でインプットしているのかを知ることができ、自分のインプットの仕方を見直すきっかけにもなりました。

鈴木:協会で開催されている定期的な講演イベント(P-CFOサロン)は非常に学びが多く、リアルタイムで参加できない回も多いのですが、動画アーカイブを活用しています。今後も定期的に視聴していきたいです。
また、機会があれば、私が専門としている人事労務や事業承継、あるいは再生・廃業のリアルな事例などについて、何らかの形で共有させていただくことができればと思っています。

【パートナーCFO養成塾の学びを活かしてさまざまなテーマに挑戦】

企業の危機を救い、再チャレンジを後押しする ~今後の展望とP-CFOへの期待

鈴木:現在、日本全国はもちろん、私の地元である大阪でも、再生や廃業の案件が増加しています。まずはこれらに全力で対応することが直近の目標です。
特に廃業支援においては、無理に経営を続けて資産をなくす前に、法的手続を取らずに円滑に事業を畳み、経営者の再チャレンジを後押しすることを目指しています。「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」や405事業などを活用し、協議会からの費用支援もして頂きながら、適切なサポートを行っていきたいです。現在はこの案件処理で手一杯なため、新規の営業はあえて控えている状態です。

鈴木:キャリアのロードマップとしては、40代のうちは現在の「弁護士と診断士の二刀流」スタイルで、助けを求められた会社に対して最大限のコンサルティングを提供し、現場で泥臭く支援を続けていきたいです。様々な現場を見ることは、必ず自分自身の経験として返ってきますから。
そして50代以降は、自分が現場で学んだ知見、ノウハウを、次の世代に還元していくフェーズに入りたいと考えています。最終的に60代になったら、顧問先を1~2社程度に絞り、自分が本当にやりたい仕事だけを心穏やかにやっていければ理想的ですね。

鈴木:この講座は、昨日できたばかりのスタートアップから、歴史ある中小企業、そして大企業まで、あらゆるフェーズの企業を支援するために必要なノウハウが詰まっています
これから事業者支援に本格的に取り組みたい方や、普段の経営コンサルティングにプラスアルファの価値を加えたい方お客様により高次元の提案をしたいと考えている専門家の方々にとって、間違いなく役に立つ内容です。私自身、受講して一番感じたのは「自分が何者であるかを説明できるようになった」ということです。ご自身のレベルアップとお客様への貢献を本気で考えておられる方には、ぜひ受けていただきたい講座かなと思っております。

プロフィール

鈴木俊生法律事務所 鈴木 文崇(すずき ふみたか)さん
大阪市中央区在住。「あきんどのまち」大阪船場で生まれ育ち、2015年に弁護士登録。2017年には中小企業診断士も取得し、法律と経営の両面から中小企業支援に携わる。弁護士としては顧問先企業の人事労務・事業再生・事業承継を、中小企業診断士としては経営計画策定・再生支援・資金繰り支援を専門とする。
大阪弁護士会中小企業・NPO法人等支援センター事務局次長、大阪産業創造館経営相談室経営サポーター、大阪府事業承継・引継ぎ支援センター統括責任者補佐(サブマネージャー)など公的機関での要職も歴任。製造業・建設業・小売業・飲食業など幅広い業種の経営者を対象に、事業計画策定から事業再生・廃業支援まで一貫してハンズオンで支援。「オーダーメイドで最適解を導き、『心配ごと』を防いで『夢』をカタチにする」をモットーに、中小企業診断士・弁護士・1級FP技能士・ターンアラウンドマネージャー(TAM)の資格を活かした総合的なコンサルティングを提供している。

<編集後記
取材を終えて、弁護士は数字に弱いという鈴木さんの率直な一言が強く印象に残りました。これは単なる自己批判ではなく、だからこそ中小企業診断士を取得し、数字と経営の視点を身につけることで事業再生支援の質を根本から変えてきたという、キャリア選択の必然を語る言葉でした。
特に印象深かったのは、伴走支援に向き合うスタンスです。「コンサルは間違えたら会社を潰す」という言葉の重みが、地に足のついたアクションプランの設計と、顧客と一緒に汗をかくというスタイルにそのまま表れていました。立派な提案でも実行できなければ意味がないという言葉も、鈴木さんの現場感覚と誠実さの裏返しでしょう。
廃業・再生案件が急増する大阪の現場で、今この瞬間も奔走されている鈴木さん。パートナーCFO養成塾で得た8マトリックスや営業の型は、「仕入れ」という言葉で表現されていた通り、すでに実務へと組み込まれ、受講料の回収も済んでいるとのことでした。40代は二刀流で現場に徹し、50代以降は次世代への還元へ——。そのキャリアビジョンからも、支援者としての一貫した姿勢を感じます。

弁護士と診断士、法律と経営。その両眼で中小企業を見つめる鈴木さんの今後のご活躍が、ますます楽しみです。

取材・文:第7期生 中郡 久雄
取材日: 2026年3月28日