財務の「安心感」で中小企業の成長を支える ~経営者に寄り添うパートナーCFOとしての挑戦~

UKパートナーズ株式会社 代表取締役
梅村 尚樹(うめむら なおき)さん
今回ご紹介するのは、パートナーCFO養成塾第7期生(2024年6月~2024年11月)の梅村尚樹さんです。梅村さんは、大手産業機械メーカーでの営業経験を経て、株式会社エフアンドエム(東証スタンダード上場)で中小企業向けコンサルティング事業部の責任者として事業を牽引し、リーマンショック時には財務支援サービスの立ち上げにも携わりました。
その後、2012年に独立し、UKパートナーズ株式会社を設立。現在は、財務コンサルティング、社外CFOサービス、経理サポート、法人向け生命保険代理店業務など、多角的なサービスで中小企業の成長を支援しています。
「安心感」を最大の提供価値と位置づけ、売上2~3億円規模の中小企業を中心に約20社をサポート。独自の視点で、財務診断から事業承継まで幅広い支援を展開する梅村さんに、現在の事業内容や独立に至った経緯、パートナーCFO養成塾での学び、そして今後の展望についてお伺いしました。
財務×保険×クラウド会計の独自アプローチで中小企業を支援
――代表をされているUKパートナーズ株式会社の事業内容について教えてください。
梅村:財務コンサルティングを中心とした中小企業向けのCFO業務を提供しています。事業計画を策定してPDCAを回していく推進支援や、理想と現実とのギャップを埋める解決策を一緒に探していくことが中心業務です。その中には資金調達や借り換え、個人と法人のお金のマネジメントなども含まれます。
おそらく他の方と少し違う立ち位置なのは、ソリューションツールの一つとして、法人向け生命保険を5社取り扱う代理店業務を展開している点です。法人保険を自社のお客様に提供するほか、会計事務所や他のコンサルティング会社のクライアントにスポットで保険だけ提案させていただくこともあります。
――確かに珍しい取り組みだと思いますが、保険代理店業務を始められた理由は何ですか?
梅村:前職のコンサル会社では、クライアントを生命保険会社からご紹介いただくことが多かったんですね。コンサルティングを通じて、保険にミスマッチがある場合は紹介元に案件としてお返しすることをしていました。
独立当初は、保険のミスマッチがある場合は複数の保険を扱う保険のプロ代理店をご紹介していたのですが、代理店側が実態BS、CFなどの財務を十分にわかっていないためにうまくいかないことがあり、「それなら自分で登録して提案までやってみよう」と考えたのがきっかけです。
特に中小企業では保険が重要な役割を果たすケースも多く、経営者自身も気づいていない潜在的なリスクマネジメントや課題解決方法のひとつとしてご提案させていただいています。
――経理業務サポートも特徴的なサービスとして打ち出されていますね。
梅村:こちらも、前職での経験を活かして立ち上げたサービスです。
指導の場面で試算表がタイムリーにでてこないと難しいですよね。そのボトルネックとして経理体制のブラックボックス化や顧問税理士の古いやり方が気になっていました。
前職のコンサル会社では個人事業主や小規模法人の記帳代行を専門に行う事業部があり、私も責任者まで務めた経験がありました。経理業務の生産性が低いこと、経理業務のサポートは税理士の独占業務の範囲外であること、経営者のニーズと税理士事務所の提供サービスにギャップがあることを認識していました。
独立したタイミングでちょうどクラウド会計が登場し、経理業務が専門職からITリテラシーを前提とする汎用化された業務に変質したため、マネーフォワードの代理店登録を行い、自計化支援をスタートしました。
クラウド会計による自計化支援や、必要に応じて毎月の入力指導やチェックを行うことで『試算表が出てこない問題』を解決することができました。タイムリーに会計データが共有できているため精度の高い指導が可能になっています。
もちろん、税務申告は従来の先生やパートナーの税理士事務所と連携してワンストップで提供しているため申告や金融機関との連携もスムーズです。

「安心感」こそが中小企業への最大の提供価値
――梅村さんが顧客に提供する価値を一言で表すとすれば何でしょうか?
梅村:「安心感」だと考えています。私がご支援している企業の多くは売上規模2億から3億円規模の中小企業です。経営者の方は財務や経理を専門に学ばれてきたわけではなく、社内にもその分野に詳しい人材がいないというケースが少なくありません。
そういった状況で、数字面から経営状況を整理したり、最善の意思決定を支援する存在として、安心感を提供することだったりが私の役割だと思っています。
――現在どのくらいの数のクライアントを支援されていますか?
梅村:現在の関与先は約20社ほどです。毎月の支援で深く関与させていただいている企業もあれば、年に数回だけ面談を行う関わり方の企業や会計のモニタリングのみの企業もあり、予算やニーズに合わせて柔軟に対応しています。
コンサルティングとしては、月1回の訪問で月額10万円前後を基本にクライアントのニーズに応じたサポートを行っています。訪問時間は2〜3時間程度ですが、その裏での準備やフォローも含めると、1社1社にしっかりと時間をかけて取り組んでいます。
――クライアントはどのように獲得されているのでしょうか?
梅村:独立当初は、セミナーを開催してご縁を広げていきました。業界的に前職のクライアントをそのまま引き継いで独立というケースも多いのですが、私の場合は管理職だったこともあり、ゼロからのスタートでした。
そのため、まずは自分を知っていただく場としてセミナーが重要でした。
その後しだいに、紹介でのご依頼が増えたのですが、紹介だけでは「支援内容」と「ニーズ」にギャップが生まれることもありました。
最近は、自分がどんな支援を得意としていて、どんな企業と向き合いたいのかを、きちんと発信する必要性を感じています。そうした想いから、改めてセミナーを通じての情報発信を再開しようとしています。

「オーダーメイドで経営課題を解決していきたい」本当に役立つ支援を目指して独立へ
――独立を決意された経緯を教えてください。
梅村:前職では中小企業向けコンサルティング事業部の責任者の立場を担っていました。
キャリアとしてもジェネラリストとして進んでいましたが、次第にスペシャリストとしてお客様により深く関わっていきたいという思いが強くなっていったんです。
スーツでも吊るし、セミオーダー、オーダーとカテゴリーが分かれていて、予算やニーズによって求めるものは異なりますよね。でもフィッティングしたものでないと体にピタッと合いません。
中小ベンチャー企業の経営こそ変数も多く考え方も異なるので、やはりオーダー型でないと指導自体がフィットしないというのが私の考えです。
ビジネスを拡大していくには、サービスを定型化し属人性を減らしていくことも必要です。でも私は個別の課題を解決するには独立が最適だと考え、決意しました。
関与できる数は限定的になってしまいますが、経験から得た知恵をクライアントに還元し続けたいと考えています。
――「中小企業・ベンチャー企業の企業価値を最大化する」というミッションを掲げられていますね。その背景を聞かせてください。
梅村:様々な会社と関わる中で、自社だけではなく、他の支援会社の事例を目にする機会があります。その中で、「これは処方箋が違うのでは」と感じる場面もよく目にします。
たとえば、トップラインに課題のある企業に、マーケティング支援会社が過大なプロモーション費用がかかる提案などです。実際には資金繰りが厳しく、その施策がむしろ体力を奪っているケースもよくあります。
もちろん、それぞれが自社の得意分野を活かして提案をするのは自然なことですし、それ自体が悪いわけではありません。
ただ、その提案が企業の全体像を十分に把握しないまま行われ、本質的な課題から外れてしまったり、企業が苦境に陥ってしまったりするのは本末転倒です。
支援するプロとして客観的に現状を把握した上で、可能なリソースから最善の支援を行うべきだという思いから、このミッションを肝に銘じています。
リーマンショックで芽生えた使命感―財務改善支援サービスの立ち上げ
――コンサルティング会社に転職された経緯を教えてください。
梅村:大学卒業後、産業機械メーカーに就職しましたが、技術職が優位な企業文化に馴染めませんでした。文系の人間も主体的に働ける環境を求めて、コンサルティング業界への転職を考えました。もともと就職活動時にはコンサル系、メーカー、商社の3つを志望していたこともあり、求人媒体でコンサルティング会社を見つけて転職を決めました。
――コンサルティング会社時代で最も印象に残っている仕事にはどんなことがありますか?
梅村:中小企業向けコンサルティング事業部の責任者をしていた時にリーマンショックが起きました。コンサルティング会社では、リスクマネジメントや与信管理、体制整備や人材育成などバックオフィス部門向けコンテンツを提供していました。しかし、倒産が相次ぐ中で、「中小企業を応援する、支援すると言っているが、これでは何もできていないのと同じではないか」という危機感から、新たに財務改善支援サービスを立ち上げました。もちろん、当初は自分たちだけではできないので、外部の人にも手伝ってもらいながら、一緒に作っていきました。その際に私自身が金融機関出身ではないので、俯瞰して業界の課題に気づくことがありました。
もう一つ、今でも忘れられない出来事があります。保険会社の紹介でコンサルの関与が始まった直後、その経営者の方が急逝されました。加入している保険の保障額より借入額のほうが多く、死亡保険金をすべて金融機関に返済されましたが、会社は破産され、後継予定者は相続放棄を選択されました。
「経営者とどう向き合うべきか」「本当に必要な支援とは何か」。あのときほど深く考えさせられました。この経験は今の指導の指針になっています。
事業承継で見せた伴走支援の真価
――独立されてから、最も印象に残っている仕事を教えてください。
梅村:事業承継で悩まれている経営者の方の支援が印象に残っています。100年を超えるその会社にはM&A仲介会社からの営業が頻繁に届いており、「会社を売るべきかどうか」と悩まれている状況でした。
奥様は「もう売って、老後はゆっくりしたら」と背中を押しつつも、社長は「せっかくここまで頑張ってきたのにもったいない」と葛藤を抱えておられました。そんな中で、じっくりと話を聞いて情報を整理し、売却だけでなく内部承継や親族承継も含めて様々な選択肢を丁寧に検討していきました。「この先どうするか」を話す中で、「ああでもない、こうでもない」と率直に思いを語ってくださるようになり、時間をかけて方向性を考えることができました。
結果的にタイミングよく長男の方が戻ってこられることになり、現在は事業承継の準備段階にあります。私が関わっていなければ、もしかすると早い段階で売却という判断になっていたかもしれません。でも、売ることが必ずしもベストな選択だとは限らない。そう考えると、自分の支援には意味があったと感じられ、伴走支援ができて本当に良かったと思います。
M&A仲介会社から『時間がない』と売却を急かされるケースも多いと聞きますが、私はコンサルタントとして、じっくりと考えて、本当にその経営者や家族にとって最適な選択は何かを一緒に探ることを大切にしていきたいです。
パートナーCFO養成塾で得た「相性」という新たな視点
――パートナーCFO養成塾を知ったきっかけと受講の目的を教えてください。
梅村:自社のホームページにCFOサービスという文言を記載しているのですが、CFOサービスについてのお問い合わせが重なる時期がありました。中小企業向けのCFOには明確な定義があるわけではないので「お客様が何を求めているのか」を改めて自問していました。
そんな折に、YouTubeでマネーフォワード提供の高森さん対談動画を発見しました。マネーフォワードの代理店をしていることもありすぐに再生をしたのですが、高森さんの分かりやすい説明にすっかり魅了されました。その後、著書を読み、セミナー参加を経て養成塾の受講に至りました。
――受講前後で変わったことはありますか?
梅村:まず実務面では、M&Aの支援機関登録をすぐに行い、自社でも対応できる体制を整えました。また、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)やコーチングといった、これまで意識的には取り組んでこなかったメニューやコミュニケーション分野についても深掘りして、お客様への提供を始めています。
考え方の面では、高森さんがよく使われる「相性」という概念が大きな気づきでした。以前はお客様のニーズに合わせていくマーケットイン的なアプローチが多かったように思い返します。受講後は自分の目指す価値観を整理して、自分の強みを活かしたプロダクトアウトのアプローチを心がけるようになりました。
また、単価設定にも見直しを行いました。養成塾での話を聞いてから、新規の見積もりは従来の2倍から3倍で提示するようになり、サービスの価値をしっかりと伝える意識が高まりました。既存のお客様については、訪問からオンライン面談へ移行するなど、提供スタイルを工夫することで、時間的・専門的価値に見合った報酬をいただけるようにシフトしました。

――養成塾の学びが実際の業務で活かされた場面はありますか?
梅村:私自身が直接バックオフィス部門での就業経験がないので、高森さんの経験を伺うことで視点を広げることができました。パートナーCFOの扱う領域は幅広いですが、すでに経験してきた分野については、より深く整理・表現できるようになり、触れてこなかった分野については、基礎から学ぶ機会になりました。
網羅的だった知識や経験がシナプスのようにつながり、自分自身のバージョンアップと対応力の向上につながったと感じています。
学びと実践のシンクロ ― 養成塾初日に決まった書籍出版
――2025年3月に『数字が苦手な中小企業経営者のためのファイナンス入門』を出版されましたが、どのような経緯だったのでしょうか?
梅村:きっかけは、知人から出版を勧められたことでした。
本書では、財務に苦手意識を持つ中小企業の経営者、これから学び始める方を主な対象としています。また、数字に自信はお持ちでも本質的な理解が不足している経営者が少なくありません。
そこで、会社を守るために気づいてほしいポイントを厳選し、図や事例を交えながらわかりやすくまとめました。「枝葉末節にとらわれず、ぜひ本質を理解していただきたい」という思いを込めた一冊です。
2023年の年初めから企画書を準備しはじめ出版社へのアプローチを開始し、出版社の会議で正式に決まったのが、ちょうど養成塾の初回授業の前日だったんです。
養成塾での学びと執筆活動は、まさに同時進行。講義を受講することでアップデートされる場面もあり、講義で紹介される分かりやすい図表などを参考にしながら、執筆を進めていきました。中には、引用ルールに則って掲載した図表もあります。
そうした工夫のおかげで、読者にとっても実務に落とし込みやすい一冊になったと思います。養成塾で知識をインプットし、それを書籍という形でアウトプットする。その相乗効果が、専門性をさらに高めることにつながりました。

中小企業支援のナレッジ共有への期待
――今後の会社の目標について教えてください。
梅村:基本的なベースは変わりませんが、コンサルティング業務、CFO業務、金融の3つの柱で質を担保して活動していきたいと考えています。質とはサービスだけでなく、生産性も含めています。社会課題である事業承継や相続、経営者の資産形成にもより関与していきたいと考えています。
――パートナーCFO協会に期待することはありますか?
梅村:既に実施していただいているP-CFOサロンなどのナレッジ共有は非常に貴重な機会です。共有いただく事例は、私のクライアントよりも事業規模が少し大きい企業の事例やスタートアップ企業の内容が多いため、普段は知ることのできない情報も疑似体験することができています。
今後は、中小企業から次のステージへと向かう企業を支援するためのナレッジ――いわば“橋渡し”になるような情報――が増えていくと、さらに現場でのイメージが具体化しやすくなるのではと感じています。私のような中小企業支援の現場に携わる者も、そうした部分では貢献できるかもしれないとも考えています。
――個人的な目標はありますか?
梅村:今年4月から子どもが大学生になり、子育てが一段落したという感じです。子育てが中心だった生活から解放されて、仕事は仕事で集中しつつ、仕事以外でも何か新しいことを見つけていく時間ができました。まだ具体的には決まっていませんが、新しいステージを楽しみにしています。あとは、テーマを変えて2冊目の執筆にも挑戦したいと考えています。
「我流」を超えて― 自分の実力をもう一段高めたい人へ
――最後に、パートナーCFOに興味を持った方へのメッセージをお願いします。
梅村:実務経験の豊富な方や、「自分はできている」と感じている方ほど、実は知らず知らずのうちに我流になっていたり、意外な抜け漏れがあったりするかもしれません。私自身、養成塾で学ぶ中で「ここは気づいていなかった」「わかっていなかった」という発見がたくさんあり、成長できる機会になりました。
知識や経験を体系的に整理し直すことで、自分の支援スタイルや価値提供の軸が明確になり、より深く経営者と向き合えるようになったと感じています。
CFO業務に携わっている方、あるいは「このままでいいのか」と少しでも感じている方にこそ、我流を一度見直し、軸を整える機会として、養成塾をおすすめしたいです。
――梅村さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!

プロフィール
UKパートナーズ株式会社 代表取締役
梅村 尚樹(うめむら なおき)さん
大阪府箕面市在住。大学卒業後、大手産業機械メーカーで営業職を経験。その後、株式会社エフアンドエムに転職し、中小企業向けコンサルティング事業部の責任者として活躍。リーマンショック時には財務改善支援サービスの立ち上げに携わる。
2012年に独立し、UKパートナーズ株式会社を設立。「中小企業・ベンチャー企業の企業価値を最大化する」をミッションに、財務コンサルティング、社外CFOサービス、事業承継支援、経理業務サポート、法人向け生命保険代理店業務など幅広いサービスを提供。
売上2〜3億円規模の中小企業を中心に累計で100社を超える企業にハンズオンでサポート。クラウド会計(マネーフォワード)の代理店として、DX支援も積極的に推進。2025年3月に財務に関する書籍を出版。
UKパートナーズ株式会社 https://ukp.co.jp/
<編集後記>
取材を終えて、梅村さんの「安心感」という言葉が深く心に残りました。中小企業の経営者にとって、財務や経理は専門外であることが多く、そこに不安を抱えている方が多いでしょう。その不安を取り除き、本業に集中できる環境を作ることこそが、梅村さんの提供する最大の価値なのだと感じました。
特に印象的だったのは、事業承継の支援事例です。じっくりと家族の想いも含めて検討し、最適な選択を導き出す。これこそが「伴走支援」の真髄であり、コンサルタントとしてのあるべき姿だと思います。
また、「我流になっていた」という言葉も示唆に富んでいます。経験豊富なプロフェッショナルであっても、体系的に学び直すことで新たな気づきが得られる。パートナーCFO養成塾の価値を端的に表していると感じました。 梅村さんの今後のさらなる活躍と、中小企業支援の輪が広がっていくことを期待しています。

<取材・文>
第7期生 中郡 久雄
取材日: 2025年7月6日