複数企業でのCFO経験を活かし、パートナーCFO養成塾受講中に独立。
「中小企業やベンチャー企業が成長し元気になることが、日本の成長につながる。だから自分は、成長に向けてリソース不足に悩む中小企業をCFOとしてサポートしたい!」
株式会社プレアス(PREAS)代表取締役社長
水野 靖彦(みずの やすひこ)さん
パートナーCFO養成塾第2期生で、養成塾受講中の2019年8月に株式会社プレアスを設立。社名に込めた「PRESIDENT(社長)をASSIST(支援)し、会社の将来(明日)を共に創る」という想いを胸に、「社外パートナーCFO」として中小・ベンチャー企業の経営者に寄り添い、業種も企業規模も地域も異なる複数の企業の経営支援に携わる。
水野さんはパートナーCFO養成塾を受講中の2019年8月に独立開業。わずか3か月後の2019年11月にはすでに5社と契約というロケットスタートを切られました。
「今は、お問い合わせを頂いたら、業種・企業規模・地域等の条件にはこだわらず、全てお話をお受けしています。」という言葉の通り、5社の業種や企業規模、地域も様々。東京本社に加えて、2019年12月には大阪にもサテライトオフィスを開設し、関西地区でのサービス拡大に向けて取り組まれています。
今回は水野さんに、独立前後での仕事のこと、養成塾のこと、今後の目標などについてお伺いしました。
様々な中小・ベンチャー企業をCFOとしてサポートしたい!という想い
パートナーCFO養成塾受講前の仕事について教えて下さい。
【複数企業でのCFOとして経験】
直近5年間は複数の事業会社でCFOの役割を担ってきました。中小企業でCFOをしている時、圧倒的にヒト・モノ・カネといったリソースが足りなくて、やるべきことがわかっていても手が打てない、あるいは対応のスピードが遅くなるという、中小企業が抱える課題を目の当たりにしてきました。 中小企業やベンチャー企業が成長し元気になることこそが、日本全体を元気にするのではないかという想いもあり、自分自身がCFOとして、あらゆるリソースが不足している中小企業をサポートしたい!という想いが日増しに強まっていきました。
【仕事観を変えるフリーのCFOとの出会い】
私自身、数年前からMBAの勉強もしています。5年前に自分がCFOとして入っていた案件で、海外MBAホルダーの方々と出会ったことがきっかけです。自分より10歳以上若いけれど、経営のセオリーをしっかりと押さえた上で、ロジカルに議論をして意思決定をしていく方々と共に経営を進めていく中で、自分は現場経験が豊富である一方で、経営を推進していく為の自らの武器・道具がないことを痛感しました。それをきっかけに、経営のセオリーを身につけたいという想いから大学院に通い始めました。
また、今から2年半前に、「フリーのCFOという職業(=外部パートナーCFO)」の存在を初めて知りました。実際にフリーのCFOとして、資金調達のサポートをしたり、複数企業を同時に支援したりする方々の話を聞いてから、自分自身もどこかのタイミングで同じようにフリーのCFOとしてチャレンジしたいという想いを持ち続けていました。ただ、養成塾と出会うまでは、漠然と数年後に独立しようかなという程度に考えていました。
養成塾の受講と独立起業を同時に行うことで最大限のサポートを享受
パートナーCFO養成塾でのエピソードを教えてください。
【オープンセミナー後に養成塾受講と独立起業を同時に決断】
「ストアカ」(WEBサイト)を何気なく見ていた時に、パートナーCFO養成塾のオープンセミナーのことを知りました。6月下旬にセミナーを受講して、7月上旬に高森さんに個別面談の時間も頂き、熟考の上で「せっかくならこのタイミングで独立起業し、養成塾の学びをリアルに反映させて進めた方が効率がよい」と決断して、養成塾を受講することにしました。8月上旬に養成塾Day1が開講、中旬には会社を設立、という流れでした。
【パートナーCFOとしてやるべきことの明確化】
養成塾はパートナーCFOとして求められることが網羅的にカバーされていて、自分は何が足りていて何が足りていないかが明確になりました。営業活動におけるクライアントへのアプローチで具体的にどう強みを伝え活かすのか、一方で弱みをどう穴埋めすべきか等、短期間でパートナーCFOの全体像を把握した上で戦略的なアクションにつなげられたことは非常に効果的でした。
私自身もそうですが、受講生の中でもパートナーCFOの業務をオールラウンドでこなせる方はなかなかいないと思います。だからこそ、自分が穴埋めしなくてはいけないピースを認識し、常に補強していくことは必要だと感じています。私も独立後はより意識をして弱点補強のインプットを行っています。
また、一つ一つのテーマについて高森さんや外部専門家の実体験を踏まえた内容だったので、「単なるお勉強」ではなく、自分が直面する課題に対して具体的にどうアプローチするのか、リアルにつなげられたことも効果的でした。
私はグループコンサルティングも受講したので、そこで自分自身を商品をとして売り出すために「サービスのコンセプト」や「具体的なサービス内容」、「マーケティングプラン」等を順に考えていきました。正直、講座を受講しているタイミングでは、なかなか考えが上手くまとまらなかったのですが、作成した資料は常に持ち歩きながら、セミナーのネタや営業活動での売り文句など、思いついたことを都度書き留め、内容をブラッシュアップしていくことで、徐々に自分なりの営業のイメージや提供するサービス内容が出来ていきました。
【養成塾を通して得られたもの】
養成塾を通して、独立してからの営業・マーケティング活動等のノウハウ、契約書や収益管理、資本政策等の各種フォーマットを取得でき、さらにクライアントとの効果的なコミュニケーションや自分自身の売り出し方も学ぶことが出来ました。また、養成塾の同期受講生・日本パートナーCFO協会のメンバーには、様々なバックグラウンドを持つ方々がいるので、ネットワークの構築という観点からも非常に有益な機会でした。 養成塾の受講中に独立起業をした自分としては、会社設立、営業活動、コンサル全てのプロセスにおいて、非常に有益なサポートを頂けたと感じています。
数年後に考えていた独立を早め顧客ゼロからのスタート
独立してから現在までのことを教えてください。
【顧客ゼロからのスタート】
私はもともと数年後の独立を考えていたので、独立準備はほとんど出来ておらず、かつ顧客も全くない状態でした。文字通り「ゼロからのスタート」で、養成塾でのインプットを即アウトプットにつなげる前提で独立起業しました。初めて受注した案件は、クライアントに提案書を出すと「もっと具体的にアウトプットを書いてほしい。」と返され、結局3回ほどのやり取りを重ね、提案内容を修正した上で契約締結となりました。この最初のやりとりで、自社の具体的な支援内容や成果物を徹底的に考えたことが非常に役立っています。
パートナーCFOとして独立して直後、営業活動の中で、自社の会社説明冊子を見せても「事業内容は理解できたが、最終的に御社は何ができるのか?どんな付加価値を提供してくれるのか?」と度々聞かれました。そこで「これまでCFOとして取り組んだ具体的な成果」と「直近で自社が取り扱っている支援実績」の2つの追加資料を作り、会社説明冊子と合わせて「具体的に〇〇ができます」と説明することで、クライアントの理解度および受注率が格段に上がりました。
現在、支援をさせていただいているクライアントは売上1億に満たないベンチャーから100億を超える企業、バイオから人材、IT、食品など、企業規模・事業内容・事業フェーズ、地域(関東・関西・東海・九州)と全てバラバラですが、どれも非常に面白い案件です。これまでクライアントについては、同業者の方(フリーのCFO)や大学院メンバー、地方自治体からの紹介や、自分のFacebook投稿へのリアクション、自社WEBサイトの問い合わせ等からの引き合いが中心です。営業活動については、ルート別進捗管理表を作成して一元管理して、常にどこに注力するかを考えながら進めています。
【独立起業後の変化について】
設立初年度の年商はおかげさまで設立当初の見込みを超え、なんとか目途が立ってきました。実質的な労働時間については、クライアントへの訪問時間に加えて、準備・仕込み時間を合わせると、仕事にかける総時間はそれほど変わりがないかなと思います。ただ、全体のスケジューリングやオンオフのメリハリのつけ方は基本的に全て自分で調整できるので、自由度は圧倒的に上がったなと感じています。
今後、自分の中で経営支援のノウハウが蓄積されれば、ある程度準備作業の効率化を図れる部分も増えると思いますが、最初の数年間は多少時間が掛かるかなと思っています。クライアントへの訪問時間は決して長くはないが、そのバックグラウンドでどれだけ工数をかけるかというのはパートナーCFOの課題かもしれません。1社毎にしっかりと時間をかけようと思えばいくらでもかけられる一方で、フリーな時間も残しておかないと、柔軟性を持った対応ができません。常に全てのクライアントに高い付加価値を提供するために、自分自身のワークライフバランスも含めたタイムマネジメントはパートナーCFOとしての大きな課題となっています。
【ますます高まるパートナーCFOへのニーズ】
実際にクライアントの反応を見ていても、「外部パートナーCFO」という事業内容や位置づけ、役割は、説明をすれば比較的容易に理解を得やすい環境にあります。また、様々な企業を同時に見ていて、会社規模、事業フェーズ、地域にこだわらず、対象を広く考えれば考えるほど、相当なニーズを掘り起こせる手ごたえを感じています。
そこでやはり肝となるのは「(パートナーCFOとして)あなたは具体的に何をしてくれるのか、どんな付加価値を提供できるのか」という問いに対する答えを明確に持っているかどうかではないでしょうか。一つでよいので何かしら自分の強みを明確にして、相手に伝える工夫と確実に成果を出すことが必要だと思います。これまでの営業活動の中で、特に私の場合は「士業の方(税理士や中小企業診断士)と何が違うのか」をよく問われました。私自身は「理論(MBA含む)を知る専門家」「20年近い管理部門の実務経験をベースにハンズオン可能」「取締役や執行役員といった経営者としてのマネジメント経験」の3つを併せ持って経営者に寄り添える、という点を前面に出して説明することで差別化を図っています。
パートナーCFOという職業の認知度を上げ、世の中に広めたい
今の目標、そして今後目指していきたいものなどを教えてください。
【パートナーCFOとして一定の成果を出したい】
まずは現在のクライアントの経営課題を確実に解決し、クライアントにとってもハッピーで、かつ「パートナーCFO」としての自身の経験としても貴重なものとなるようなアウトプットを確実に出したいです。
クライアントによって、上場、資金調達、原価計算構築、収益改善など解決すべきテーマは様々です。それぞれの経営課題を解決することで、自分自身が「パートナーCFO」として関わったクライアントの中から、上場をしたり、広く世間に認められるような商品やサービスを提供したりできる企業を輩出する、それが「パートナーCFO」としての喜びであり、夢ですね。
【パートナーCFOという職業・存在を広めたい】
中長期的には「パートナーCFOってそもそも何ですか?」という問いに対する説明をしなくても、「パートナーCFO」という職業や存在が多くの方に認知・理解されているレベルを目指したいですね。中小・ベンチャー企業の経営者が、当たり前の様にオプションとして「パートナーCFOを進んで採用する」状況を生み出したいです。
また、特に20代~30代の方に向けて、サラリーマンとして先行きが不透明な時代の中でも、しっかり知識と経験を積めば「パートナーCFO」というキャリアも選択できるんですよ、ということを伝えていきたいですね。自身の同志となる「パートナーCFO」の養成に向けた種まき・後進の育成に向けて、若手向けのセミナーや研修等を開催していこうと考えています。日本全国地域を問わず、業界業種を問わず、とにかく走り回って、自社の営業・経営支援活動のみならず「パートナーCFO」の普及に励んでいきたいです。中小企業やベンチャー企業の経営者だけではなく、中小・ベンチャー企業を支える自治体や各種機構、VC等とのコミュニケーションも継続していきます。
「パートナーCFO」の将来は自ら創り出すもの!
今後独立を考えている方や、「パートナーCFO」として活躍したいという方へのメッセージをお願いします。
【覚悟を持つ。自分の強みを研ぎ澄ます】
まずは「自分一人で意思決定・行動をして自分で責任を取ること」「毎月25日になっても自動的に給与が受け取れない世界に身を投じる覚悟を持つこと」と十分に向き合った上で、どこかでそれをメタ認知しながら「だからこそ思い切ってやるだけやってみよう!」と思えるかどうかです。健全な危機感とそれを受け入れる覚悟、そして楽観主義をバランスよく併せ持つことが必要ではないでしょうか。
その上で「自分の強みは何なのか」を徹底的に考え、研ぎ澄ますこと。クライアントから「あなたは当社にとって、どんな付加価値をもたらしてくれますか」という問いにシンプルに答え、アウトプットを出し続けられるかどうかが重要だと思います。
【クライアントにできることはすべてやる】
この2つをしっかり考え、実践することができるのであれば、あとはただひたすらチャレンジで動くのみだと思います。独立起業すると「全て自分の判断でチャレンジできるし、自分でその結果を受け止めて次につなげる」ことができるのだから、これほど楽しく、やりがいがあることはないと思います。そして、その判断軸のベースは「クライアントの満足度向上(定性・定量共)の為にできることは全てやる」ということだと思っています。 今後は、「パートナーCFO」を体現しクライアントの経営支援をしながら、世の中に「パートナーCFO」の意義を伝える伝道師として貢献していきますので引き続きよろしくお願いいたします!
<取材・文>第2期生 溝上 愛
取材日:2019年12月13日
【水野さんの仕事道具】
今の仕事でのマストアイテム「三種の神器」
①ノートPC ②携帯 ③コワーキングスペースの会員証
この3つがあればどこでも仕事ができます! 特に③は独立してならではのモノ。
全国でコワーキングスペースをフル活用できるように、常に3枚の会員証を持ち歩いています。
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