2023年9月27日

P-CFO 足立 修平さん

1年弱で15社のクライアントを獲得したパートナーCFO×会計士・税理士
~CFO8マトリックスがサービス拡充&アップセルの武器~

足立修平公認会計士事務所/足立修平税理士事務所 代表
足立 修平(あだち しゅうへい)さん

今回ご紹介するのは、パートナーCFO養成塾第5期生(2022年6月~11月)足立修平さんです。
足立さんは、4大監査法人のひとつEY 新日本有限責任監査法人で約20年に渡り、国内大手グローバル企業や株式上場を目指すベンチャー企業の会計監査やIPO支援業務に従事されたのち、独立。現在は埼玉県深谷市で、足立修平公認会計士事務所と足立修平税理士事務所の代表として、地域の中小企業から都内のベンチャー企業まで様々なクライアントを抱えています。経営者の立場や悩みに寄り添った伴走型支援を信条とし、中小・ベンチャー企業の資金調達やIPO支援などを中心に事業展開されています。
パートナーCFO×独立士業としてご活躍の足立さんに、現在のお仕事の内容や顧客の獲得方法、今後の事業展望、パートナーCFO養成塾で得たものなどをお伺いしました。

【プロフィール】
北海道出身、慶應義塾大学経済学部卒業。2003年に公認会計士の資格を取得後、EY 新日本有限責任監査法人へ入所。大手グローバル企業の会計監査、株式上場を目指すベンチャー企業のIPO支援など20年の監査法人勤務を経て、2022年9月に埼玉県深谷市にて足立修平公認会計士事務所を開業し独立、2023年3月には足立修平税理士事務所も開業。中小・ベンチャー企業の経営者を対象に、資金調達から事業承継、IPO支援などの領域で伴走型支援する傍ら、企業の人材育成にも携わる。公認会計士と税理士のダブルラインセンスを有する。

BIG4の大手監査法人を経て、2022年9月に公認会計士事務所を開業し独立

――まずは、足立さんの現在のお仕事について教えてください。

足立修平公認会計士事務所と足立修平税理士事務所の代表を務めています。昨年の2022年の夏に前職の監査法人を退所し、同年9月に埼玉県深谷市で独立開業しました。現在は、中小・ベンチャー企業の経営者を対象に、資金調達やIPO支援などの領域で経営者の立場や悩みに寄り添った伴走型支援を行っています。

仕事の軸は2軸あります。ひとつは前職で得たスキルや経験、人脈を活かしたIPO支援の仕事、もうひとつは埼玉県深谷市という地方都市の中小・ベンチャー企業を支える仕事です。

前職ではIPO支援に長く従事していましたので、そのスキル・経験等を活かして主に都内を中心にIPOを目指す企業の支援に携わっています。一方、地方都市では高齢化や後継者不在に悩まれる経営者が多いです。そういったご年配の経営者や私と同世代の経営者、これから後継者となるような方々の立場や悩みに寄り添って、中小・ベンチャー企業をパートナーCFO×会計士・税理士として支援する仕事にも取り組んでいます。
前職で得たスキルや経験、人脈を活かしたIPO支援の仕事は独立開業前からやりたかった仕事地方都市の中小・ベンチャー企業向けの仕事は私の使命だと思って取り組んでいる仕事です。

――前職でのお仕事内容も教えていただけますか。

前職では4大監査法人、BIG4と言われるEY 新日本有限責任監査法人(以下「EY」)に20年ほど勤めていました。2003年に公認会計士資格を取得後にEYに入所し、最初の10年間は、日本を代表する大手グローバル企業の会計監査等に従事していました。その後は、業務の幅を広げるためにベンチャー企業のIPO支援業務にも従事するようになりました。
監査法人時代は、売上高が何兆円という大手グローバル企業から数億円のベンチャー企業など、さまざまな規模・ステージの会社を担当させていただきましたが、そのおかげで私自身の仕事の幅が大きく広がりましたし、その時の経験が今の仕事にもすごく役に立っていると感じています。

――前職時代の東京での勤務と、現在の埼玉での独立開業で、ライフサイクルに違いはありますか。

私が事務所を構える埼玉県深谷市は妻の実家の近くで、今から8年ほど前に都内から移り住んだのですが、前職時代は、ほぼ毎日早朝に家を出て深夜1時過ぎに帰ってくるといった生活スタイルでした。独立開業後は埼玉県深谷市を拠点に仕事をしていますが、週に数回は都内に足を運んでいます。時には、曜日関係なく働く状況もありますが、幸いなことに職業柄どこでもできる仕事ですし、自分でスケジュールをコントロールできる仕事でもありますので、家族と過ごす時間も大切にしながら仕事にも取り組むといった形で、ワークライフバランスを充実させています。

独立開業後のサービスメニューの拡充のためパートナーCFO養成塾を受講

――パートナーCFO養成塾への入塾の背景や理由は何でしょうか。

FacebookでパートナーCFO養成塾の広告を見たのがきっかけです。2022年5月頃だったと思います。ちょうどその時は、前職を退職して個人事務所開業に向けた準備をしていました。同時に、独立開業後のサービスメニューを拡充しようと思っていたタイミングでもありました。

パートナーCFO養成塾のFacebook広告を目にして、すぐにオープンセミナーを受講し、オープンセミナー受講後のその日のうちに養成塾に申し込みました。

――パートナーCFO養成塾の受講を即断した理由は何でしょうか。

まさに、中小・ベンチャーCFO8マトリックスです。
前職の監査法人時代は、公認会計士として狭い分野で深く突き詰める業務に従事していましたので、自分自身のキャリアは偏っていると感じていました。パートナーCFOは8マトリックスに代表される通り、サービスコンセプトが幅広く、私にとっては最適だと感じました。

また、パートナーCFOのコンセプト的にハイレベルな受講生が集まることにも期待していました。

<中小・ベンチャーCFO8マトリックス®>

パートナーCFO養成塾を通して、自分に足りないピースを埋めることができ、アップセルの武器も手に入れた

――パートナーCFO養成塾では全6回のプログラムを通じて、中小・ベンチャーCFO8マトリックスの8領域を学びますが、足立さんにとって特に印象に残っている講義内容は何でしたか。

組織・人事分野を含む組織マネジメントの講義です。組織・人事は、これまでの私の専門外で馴染みの薄い分野でしたが、一方で長年企業の経営を見てきて、非常に重要かつ大事な分野だと思っていました。
言い方を変えると、組織・人事の分野は自分に足りないピースでした。養成塾で組織・人事を学んだことで、自分に足りないピース、それを埋めることができました

――養成塾受講前と受講後でどのような変化がありましたか。

自分自身の変化としては、自信がつきました。先ほどの組織・人事分野の自分に足りないピースを埋めることができたことも、もちろんそうですが、それと同時に、パートナーCFOの8マトリックスの中で、自分ができることと誰かの助けを借りるべきところの濃淡をつけられました。経営に関する領域のすべてを自分一人で対応できなくても良いと認識できたことは、自分にとって大きな収穫でした。

あとは、私は会計士業と税理士業が本業で、パートナーCFOを事業のど真ん中にしているわけではありませんが、パートナーCFOのコンセプトは本業のサービス拡充とアップセルの武器にもなっていますね。

8マトリックスの中で、自分が不得意とする領域は誰かの力を借りる。そのための若手士業のネットワーク作りにも邁進

――現在のお仕事の中で、パートナーCFO養成塾の学びが生きた場面があれば教えてください。

パートナーCFOとして4社と契約できたことも大きな成果ですし、経営者との対話の中でどのような話題でも話を聞いて対応できるようになったことも養成塾での学びの成果です。
以前の私であれば、例えば、人の採用について相談されたら「それは私の範疇ではないです」と回答していたかもしれません。養成塾で学んだことで、経営者の話を8マトリックスに当てはめながら聞くことが可能になり、そのうえで、私が対応できる領域なのか、誰かの支援を仰ぐべき領域なのかを判断できるようになりました。経営者の悩みや課題のすべてを私が解決できるかどうかは別として、私が一度受け止められるということは、相談相手からすると「この人はどんな話でも聞いてくれる人なんだな」という安心感を与えると思います。今は、それが実現できており、経営者との信頼関係構築にもつながっています。

他にも、8マトリックスの内容を全部自分でできなくても良いと認識したからこそ、現在は、さまざまな分野の士業や専門家とのネットワーク作りに取り組んでいます。まずは北関東エリアで100名規模の士業ネットワークの構築を目指し、埼玉県のさいたま市や深谷市、熊谷市などを中心に若手士業や専門家を集めてセミナーや懇親会を開催し始めたところです。このネットワークがあれば、士業同士が相互補完しつつ、地元の中小企業を盛り上げていけるのではないかと思っています。

【パートナーCFO養成塾5期生・東京リアルクラスのメンバー。右から3番目上段が足立さん】

独立開業後に500名超の経営者に会い、わずか1年弱で15社のクライアントを獲得

――昨年の2022年9月に個人事務所を開業されていますが、現在のクライアント先はどのくらいいらっしゃるのですか。

クライアント数は15社ほどです(※2023年7月のインタビュー当時)。クライアントの会社規模も大小さまざまで、パートナーCFO業務と税務顧問の契約を含んでいます。具体的には社外監査役として就任している会社が1社、パートナーCFOに近い仕事を行う会社が4社、税務顧問が6社、残り数社はパートナーCFOと税務顧問の間のような仕事をしています。

パートナーCFOに近い仕事の中には、社内CFOの補佐を務めている会社もあります。そこでは、CFO実務と若手の育成にも従事しています。

――パートナーCFOと税務顧問の間の仕事、というと?

税務顧問には相場的な料金表があり、売り上げの規模で段階的に上がっていきます。私はそこに、税務顧問にプラスできるパートナーCFOの商品・サービスを用意して提供するようにしています。

税務顧問として契約をスタートする先では、まずはお付き合いを始めるのが大事だと考えており、今すぐパートナーCFOとしてのフルサービスの提供が必要ない場合は、例えば資金調達のみ、などを商品・サービスとして提供しています。
パートナーCFOのプラスのサービスはすべての税務顧問先で薦めるわけではなく、事業上の必要性や相手の懐事情を踏まえて提案しています。

独立開業1年弱で15社と契約を実現した「顧客獲得の3つの秘訣」

――独立開業から1年弱で15社と契約、というのはすごいですね!顧客獲得の秘訣はなんでしょうか。

ひとつは、接触頻度を意識して数多くの経営者に会ったこと。二つ目は、その地域の核となる人物と出会えたこと、そして三つ目は自分を売り込もうとしないことです。

私は、経営者との接触頻度を高めて私の存在を知ってもらうことを意識して、独立開業からこれまでの間に地元や近隣の商工会議所やロータリークラブ、母校の三田会やOB会などのあらゆる経済団体に顔を出し、500~600人の経営者にお会いしました。「社長さんいますか?」と、ふらっと会社や店舗に立ち寄って社長さんとお話しするといったこともしました。

また地方都市では、その地域の核となるような会社の経営者や地元の方から一目置かれている経営者、地元の方から慕われている経営者がいらっしゃいます。顧客獲得の近道は地元で有力な経営者とつながりを持つことが大事だと思い、そういった経営者にもお会いするようにしていました。たまたま、そのうちのお一人が母校・慶應義塾大学の大先輩だったこともあり、顧客獲得につながる人脈を広げていただきました。また、地元の会計事務所・税理士事務所の所長さんからも、事あるごとにお声がけいただき顧客も紹介していただきました。そのお二人には今でも大変お世話になっています。

最後は、自分を売り込もうとしないことです。お相手の経営者の中には、私のことを公認会計士・税理士と認識している方が多くいらっしゃいますが、私は会計士・税理士業で自分を売り込むことはせずに、経営者の悩みや課題を聞くことに徹しています。それが次の相談や契約締結につながっていると思います。

おかげで今は、新規顧客は受注できないくらいの状態になっていて、従業員を雇わないといけないと考えているところです(笑)

「足立さんがうちの会社に足りなかった最後の1ピースを埋めてくれた」と言われる存在に

――前職では大企業を相手に仕事をすることが多かったと思いますが、独立開業して中小企業の経営者と対峙するなかで戸惑いなどはなかったのでしょうか。

戸惑いや違和感はなかったですね。
実は、北海道の実家では父親が八百屋を営んでいて、私も幼少期から店頭に立ち、お客さんの買い物の足し算やおつり計算などの手伝いをしていました。商店街という場所柄と、父親は地元の商工会議所の役員だったこともあって、周りにも商売をしている経営者も数多くいました。今でも年2回は実家に帰るんですが、父親の世代の経営者だけではなく、代替わりした自分と同世代の経営者からも、色々相談を受ける機会もあったりします。

そういった点で、中小企業の経営者と接する経験や感覚を持てていて、今の仕事にとって恵まれた環境ですね。

――現在のお仕事で感じるやりがいやおもしろさを教えていただけますか。

ダイレクトに経営トップの方とお付き合いができて、ダイレクトに経営支援に携われていることがやりがいであり、おもしろさです。
前職の監査法人時代と今も、仕事内容や支援内容が大きく変わっているわけではありませんが、取引先企業のレイヤーはかなり変わりました。前職時代は大企業が中心でしたが、今は、中小・ベンチャー企業が中心です。大企業の意思決定のプロセスでは、稟議や決裁があり、場合によっては取締役会が開かれてと、意思決定には数週間から数カ月かかることもあります。

一方、現在の仕事では経営トップとのディスカッションを通じて物事が意思決定され、すぐ実行に移される。そして私もその間近で経営者を支援できている。中小・ベンチャー企業では、私と経営者との距離がかなり近いと感じていて、ダイレクトに中小・ベンチャー企業の経営に携われていることがやりがいやおもしろさにつながっていると思います。
あとは、「中小企業は当たり前のことを当たり前のように実行することによって成果が生まれる」とか、「やり方を少し変えるだけで成果が生まれる」といったことが実感できたこともやりがいにつながっています。世の中の中小企業が生き残っているのには訳があって、良い製品や良いサービスがあるから生き残っているのだと思っています。そういった良い部分を伸ばしていくと業績も伸びていくということが中小・ベンチャー企業の支援を通じて体感できています。

また、つい最近も社外監査役として支援している会社の社長さんとお話をする機会があり、その時に「足立さんがうちの会社に足りなかった最後の1ピースを埋めてくれた」と仰っていただきました。その言葉はすごくうれしかったです。
業績を伸ばそうとしている経営者と一緒にお仕事をすることで、私自身も前向きな気持ちになれますし、単純に楽しいですよね。

目標は5年で売上1億円。「焦らず着実にやる」をモットーに、事業拡大と従業員が安心して働ける場所の実現を目指す

――足立さんの将来の展望や人生の野望を教えてください。

会計士・税理士の業界では、5年で売上1億円というのがひとつの目標としてあります。当然、私も5年で売上1億円という数値目標を掲げています。ただし、決して焦らずに着実に事業拡大を図っていきたいと考えています。数値目標だけを追いかけすぎると、どこかでつまずいてしまうことがあるかもしれません。「焦らずに着実にやる」ということを自分の中では一番大事にしています。

また、現在は私一人で会計士・税理士事務所を経営していますが、今後は従業員を雇用して事務所を組織化し大きくしていきたいです。従業員の方々にしっかり給料がお支払いできて、従業員も不安なく働ける、安心して結婚・出産・育児もできる、将来展望も描けるという、そういった場所を作りたい。そのためのサービスメニューを作る、授業員も育成する、そしてそれらを仕組化する、ということに着実に取り組んでいきたいです。

――事業拡大と従業員が安心して働ける場所の実現、素晴らしい展望ですね。足立さんご自身の展望はいかがでしょうか。

前職時代もがむしゃらに頑張って仕事をしてきましたが、独立開業してこの1年で改めて私は仕事が好きなんだということを再認識しました。独立開業で定年退職も無くなったわけですが、今の仕事を細くても良いので長く続けていきたいと思っています。

70代になれば今と同じペースで仕事をすることはできないかもしれませんが、仕事を選びながらも細く長く健康的に仕事をしていきたいですね。この仕事はきっと80歳になってもできると思っています(笑)。そしてそのころには、後進の育成に興味が湧いているかもしれませんね。

パートナーCFO養成塾で自分の棚卸しと、バックグランドが異なるハイレベルな仲間ができた

――最後になりますが、パートナーCFOに興味を持った方へのメッセージをお願いします。

「迷わず行けよ、行けばわかるさ」ですかね(笑)

私は、パートナーCFO養成塾を通じて、自分の得意分野と不得意分野の棚卸しができました。また養成塾同期でそれぞれバックグランドが異なるハイレベルな仲間も得られました

そういった学びの場や人との関係性・ネットワークを構築したいという方はぜひどうぞ!という感じですパートナーCFOに興味を持った方にはぜひ学んでほしいですね。

【パートナーCFO養成塾5期生、最終講義後の懇親会の風景。右から2番目が足立さん】

<編集後記>

今回、足立さんから伺った顧客獲得のプロセスや秘訣は、これから独立開業を目指す私にとっても非常に参考になるものでした。ぜひ真似させていただきます(笑)

足立さんが掲げる5年で1億円の売上目標、従業員が安心して働ける場所の実現、士業同士の相互補完と中小企業を支える士業ネットワーク作り、パートナー養成塾5期生の同期生として心より応援しています!

<取材・文>

第5期生 須々田智昭

取材日:2023年7月3日