M&Aアドバイザリー×パートナーCFOとして
クライアントの企業価値創造を多角的に支援
オメガキャピタル株式会社 代表取締役
丸山 晶(まるやま しょう)さん
今回ご紹介するのは、パートナーCFO養成塾第5期生(2022年6月~11月)の丸山 晶さんです。
丸山さんは、外資系証券会社やコンサルティングファーム等を経て、2023年8月にオメガキャピタル株式会社を設立。高品質のM&A関連サービス、コンサルティングサービスを主な事業として展開し、クライアントの企業価値創造のご支援をされています。
丸山さんおよびオメガキャピタル株式会社はクライアントが成長し、自社も成長することで、社名に表現される「究極の資本」≒OMEGA Capitalを共創し、経済成長のエコシステムを形成することを理念として掲げていらっしゃいます。
企業経営者としてご活躍の丸山さんに、現在のお仕事の内容やパートナーCFO養成塾で得たもの、経営者そして個人としての今後の展望などをお伺いしました。
「中小企業の事業承継問題を解決したい」思いから独立開業
――丸山さんは昨年独立起業されたそうですが、現在のお仕事について教えてください。
2023年8月にオメガキャピタル株式会社を設立しました。M&Aアドバイザリーや経営コンサルティング、資金調達支援を通じて、クライアントの企業価値創造を支援しています。当社の特徴は、コンサルティングファーム、投資銀行・証券会社、Big 4アドバイザリーファーム、監査法人等出身のプロフェッショナルとのネットワークを活かし、適材適所のスタッフィングと案件執行を行わせていただくことです。
直近では、M&Aアドバイザリーのセルサイド案件・バイサイド案件、医療法人・社会福祉法人の事業再生コンサルティング、事業計画策定支援、会計系のバリュエーション(企業価値評価)案件などを行っています。
――会社設立の背景や思いを教えてください。
前職のデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(以下、デロイト)とPwCアドバイザリー合同会社(以下、PwC)では長きに渡り主にバリュエーション業務に従事し、特にインフラ、エネルギー、TMTと称されるテクノロジー・メディア・テレコムの分野に多く関わってきました。10年以上の実務経験を積んだ一区切りのタイミングで次のステップを考えた時、業界的には転職を選択する人が多いのですが、私は独立を選択しました。
会社員として仕事をする中で「株主として自らの会社を大きくしていきたい」という願望を持つようになり、「会社を成長させるには早めに始める方がよい、これまでのスキルと経験を今後の事業展開に活かすタイミングが今だ」と考えたからです。
個人としても資産を形成し、自分の子供たちに何か形あるものを残したいという思いもあり、ライフプランとしてもより良い未来を築くための38歳での独立開業でした。
コンサルティング+αで、クライアントと自社を成長へと導く
――社名「オメガキャピタル」の由来は何でしょうか。
社名は「OMEGA Capital = “究極の資本”」を築いていくというビジョンを表しています。現在はコンサルファームですが、将来的には、例えば事業投資やIT関連の事業開発も手掛けたい、という思いを込めてオメガキャピタルと名付けました。
M&A業界では、よく「2025年問題」が取り上げられます。経営者が70歳以上の企業が約245万社まで増加し、そのうちの約127万社が後継者不在による廃業・倒産の危機に直面するというものです。この問題は当社のみの力で解決できるものではなく、社会課題として多くの企業・専門家を巻き込んで進めていく形が好ましいと考えています。将来的にはコンサルティングと事業投資、事業開発を統合させたサービスを提供すると同時に、中小企業の経営者、専門家、資本家等を集い、上記の課題解決を行うことの延長線上に、当社のステークホルダーで経済成長のエコシステムを共に創り上げて行くことを目標としています。
双方が満足するディールが成立できた時の充実感と未知の領域への挑戦がやりがい
――ターゲット顧客と顧客の獲得方法について教えてください。
現在はターゲット顧客を特定せずに、お客様のニーズに応じて幅広い業務を手掛けています。これまでご支援した業種は設備工事、社会福祉法人・医療法人、専門商社など業種の偏りはあまりありません。また従前の業務内容としてはM&Aにおけるバリュエーションの仕事が多かったものの、今後はファイナンシャルアドバイザリー・仲介や事業再生、コンサルティングなど幅広く対応していきたいと考えています。私の業務領域では専門特化している専門家が多いので、このようなスタンスは珍しいかもしれません。
顧客獲得は、前職のデロイトやPwCとのリレーションによるところが大きく、直近でご支援している案件もデロイトからの紹介やPwCから独立した方からの依頼です。今後は新規顧客獲得にも力を入れていきたいと考えており、大手M&A仲介のようなインサイドセールスも取り入れて、売り案件・買い案件のソーシングも行っています。
――どんな時にお仕事でのやりがいを感じますか。
M&Aのプロセスを通じて、売り手と買い手の双方が満足するディールを実現できた時の達成感は大きいですし社会的意義も感じています。
会社員時代は、ある程度決まった仕事をして固定給を得るという安定感があったのに対し、独立して以降は、来月は何をしているか分からないという不安はありますが、それが面白さでもあります。独立してからは自ら仕事を獲得し、それを実行して報酬を得るという一連のプロセスを楽しむことが大事と考えています。
また、最近は未経験の領域に挑戦できる機会に恵まれていることにもやりがいを感じています。
他の人が躊躇することも、自らが価値を見出せば積極的に挑戦
――丸山さんはこれまで「独立起業」「幅広い業務に対応」「将来的に事業投資を行いたい」と、業界でもあまりない選択をされてきているように思います。幼少期を含めて、その根幹にある考え方はどのように形成されてきたのでしょうか。
私は東京都生まれですが、父の海外赴任に伴いイギリスとオランダで4年ほど過ごし、小学校低学年の時に東京に戻りました。大学では専門性をつけたいと考えUSCPA(米国公認会計士)の資格を取得しました。
私の特徴は他の人が躊躇するようなことにも価値を見出せば積極的に挑戦することと考えています。学生時代から「人から言われたことをやるとか、周囲の人と同じことをやる」より「自分が価値を見出したことに挑戦する」ところがあります。これは幼少期の海外生活の影響も多少あると思いますが、もともとそういう性格だと認識していています。この性分は自分の意思決定に少なからず影響を与えていて、今の独立開業にもつながっていると思います。
ジェネラリストとして幅広い知識とスキルを求めてパートナーCFO養成塾を受講
――USCPAを持ち、企業内で10年以上の経験を積まれてきた丸山さんが、パートナーCFO養成塾を受講されたのはなぜですか。
独立に向けた準備が大きな動機です。独立する際に、業務領域としてバリュエーション業務に特化するのか、それ以外の業務も手掛けるのかを考えたところ、CxOの課題解決を支援するには、より多岐にわたる業務領域の勘所を抑えておく必要があると思いました。
私はこれまでM&A関連の業務に長く携わってきましたが、自分をスペシャリストというよりは、ジェネラリスト寄りと考えています。そのため、ジェネラリストとして幅広い知識とスキルを身に付け、経営全般に関わる様々な業務に対応できるようになることが、この養成塾に参加する目的でした。
――ちなみに、高森さんやパートナーCFO養成塾はどこでお知りになりましたか。
2022年1月頃、当時在学していた一橋大学大学院のMBAプログラム講義「CFOと企業価値」(石橋 善一郎非常勤講師)の最終講義で、高森さんがゲストスピーカーとして登壇されたのがきっかけです。
高森さんの講義テーマ「ベンチャー経営とCFO」やその際に紹介された「中小・ベンチャー企業CFOの教科書」を通じて、パートナーCFOに対する興味が湧きました。
※パートナーCFO協会代表理事の高森代表が一橋大学大学院MBAの講義「CFOと企業価値」にゲストスピーカーとして登壇した記事はこちら
パートナーCFO養成塾の決め手は、得られる知識とツールに対するコストパフォーマンスの高さ
――パートナーCFO養成塾の受講を決めた一番の理由は何でしたか。
新たな知識・理論が習得でき、有益なテンプレートの提供があるコストパフォーマンスの高さです。
養成塾では、幅広い経営理論に触れる機会を得られる点や高森さんが実務で活用されている各種契約書・ファイナンス関連のエクセルなどのさまざまなテンプレートを提供してもらえる点が魅力的でした。
既に知っていておさらいの部分もありましたが、養成塾を通じて知らない分野や新しい理論を学ぶこともできました。提供いただいたテンプレートはすぐに実際の業務で使用せずとも、持っているだけでも「何かあった時に対処できる」という安心感を与えてくれます。
それらすべてを含め、パートナーCFO養成塾はコストパフォーマンスが高いと言えます。
――養成塾の受講前後で変化したことはありますか。
受講前後では、私の心持ちが変わりました。以前であれば自分の専門領域外の問い合わせに対しては、他の人に尋ねるよう勧めていましたが、今ではさまざまな質問に対して一定程度の説得力を持って答えることができるようになったと感じています。例えば、人事領域などの今まで馴染みがなかった領域についても、養成塾で得た知識やテンプレートや養成塾卒のパートナーCFOとのコミュニケーションを通じて、話を聞いて打ち返すことができるようになりました。
養成塾、パートナーCFO協会で得られている「人的ネットワーク」
――パートナーCFO養成塾の学びが特にお仕事で生きた場面があれば教えてください。
自社のWEBページではパートナーCFOとしての受講経験や協会員であることを公表しています。また、月1回・1時間からのパートナーCFO業務もメニューに入れています。パートナーCFO養成塾で学んだ知識やツールが、パートナーCFO業務を提供するうえでのベースとなっています。
――パートナーCFO協会で得られていること、期待していることを教えてください。
養成塾の同期受講生をはじめとする協会メンバーとのネットワーク形成は非常に価値があると感じています。特に養成塾の同期受講生との関係性は、今の活動における支えとなっています。
パートナーCFO協会が一つのエコシステムとして機能し、業務の受発注や上場支援、経済界とのつながりが生まれるような発展をされていくことを期待しています。
目指すは自社の市場シェアの獲得と、50歳で新たな領域にチャレンジできる環境構築
――パートナーCFOとしての今後の展望について教えてください。
パートナーCFOとしての活動は、私が単独で取り組むというよりは組織として取り組んでいきたいです。例えば、公認会計士の資格を持つフリーランスの方などと連携して、パートナーCFOを一つの足掛かりとして、コンサルティングやM&Aアドバイザリーなどの業務を提供する、自らのキャリアを拡張できる機会を提供するというものです。
自社のポートフォリオの一部としてパートナーCFOのサービスコンセプトやフレームワークを利用し、幅広いサービス提供につなげていくことが今後の展望です。
――丸山さん個人としてのこれからの展望はいかがでしょう。
事業に関しては組織立てた形で展開して市場シェアを獲得していくことを目指しています。5年後、10年後にはより大きな組織を築き、自社によるM&Aの実行や、事業売却して得たキャピタルゲインを再投資に回すことも視野に入れています。
理想の姿としては、50歳の時点ではやるべきことは一通り終えて、何か新しいことをやりたいと思ったら、資金面・体制面含め、すぐに実行に移せるような環境を整えておきたいです。ビジネス面では一定の市場シェアを獲得して人的ネットワークが構築されている状態、パーソナル面では時間的にも金銭的にも余裕がある状態、が望みですね。そのような状況なら、ストレスなく新しいことや自分がやりたいと思ったことにチャレンジできるはずだと考えています。
P-CFOの学びは「意思と志があれば、リターンは必ずある」
――最後に、パートナーCFOに興味を持った方へのメッセージをお願いします。
養成塾受講後すぐにリターンが得られるかどうかは人ぞれぞれだと思いますが、私は長期的には確実に価値があると感じています。
会社員の方、フリーランスの方、そして会社を経営されている方まで、意思や志を持って受講する方はこのプログラムを活かせますし、リターンは必ずあると思います。日々の業務等で忙しい中でも、このプログラムに時間を割く価値は十分にあるはずです。
――丸山さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!
【丸山 晶さんプロフィール】
オメガキャピタル株式会社 代表取締役。
大学卒業後、ドイツ証券株式会社にて経理・財務業務からキャリアをスタート。その後、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社、PwCアドバイザリー合同会社にて、M&Aアドバイザリー・バリュエーション・モデリング等の業務に従事。
2023年8月に独立し、オメガキャピタル株式会社を設立。現在は、M&Aアドバイザリー、バリュエーション・モデリング、事業戦略策定、事業再生等の幅広い業務を通じ、クライアントの企業価値向上を多角的に支援している。
オメガキャピタル株式会社(中小企業庁M&A支援機関)
https://omega-capital.co.jp/
<編集後記>
丸山さんはパートナーCFO養成塾第5期の同期生です。今回のインタビュー取材を通じて新たに丸山さんに抱いた印象は「2軸のバランスの良さ」でした。知性的雰囲気と社名「OMEGA Capital = “究極の資本”」に込められた力強さのバランス、他にもクライアントと自社、個人と組織、着実性と積極性のバランス。どの2軸も見事なバランスを保っていると感じました。また、ご自身もインタビューの中で仰っていましたが、温厚そうに見られがちですが、実は我が強いそうです。それもまた良きバランスだと感じました(笑)
そんなバランス感覚の優れた丸山さんであれば、間違いなくビジネス面とパーソナル面を両立させ、ご自身の目指す姿を実現されることと思います。
丸山さんの今後のさらなるご活躍を応援しています!
<取材・文>第5期生 須々田智昭
取材日:2023年10月18日