2023年7月30日

P-CFO Tさん(PEファンド勤務)

PEファンド経営管理責任者×パートナーCFO×MBA
~パートナーCFOは大企業サラリーマンの武器になる~

PEファンド勤務 経営管理部門責任者
Tさん(※画像はイメージです)

今回紹介させていただくのは、パートナーCFO養成塾の第5期生(2022年6月~11月)の「Tさん」です。
Tさんは大学卒業後、日本の大手金融機関に就職し、営業、海外留学(MBA取得)、投資銀行部門、海外勤務のキャリアを積み、現在はプライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)に勤務され経営管理部門の責任者として活躍されています。
インタビューでは、金融業界20年のTさん養成塾での学びPEファンドでの仕事にどう活かしているのか、“大企業サラリーマンにP-CFOがおすすめ”という背景は何か、などを伺いました。

【プロフィール】
大学時代は体育会運動部に打ち込むとともに、ソニー創業者の盛田昭夫氏の業績に感銘を受け、いつかは会社をマネジメントしたいと思うようになる。
大学卒業後は一貫して金融関係の業務に携わり、金融業界でのキャリアは約20年。国内金融機関にて、国内外の拠点にて個人営業から投資銀行業務まで幅広く経験した後、現在は、海外進出を展望する企業に投資するPEファンドの経営管理部門の責任者(現職)。

パートナーCFOの学びが活かせる、PEファンドの経営管理部門の責任者という仕事

現在のお仕事について教えてください。

PEファンドに勤務しています。会社の目的としては、主に海外進出を展望する企業に投資することで、投資先企業の海外展開を促進して企業価値を向上させ、それと同時に日本の貿易拡大にも貢献する、というものです。

会社には投資部門と経営管理部門があり、私は経営管理部門の責任者をやっています。業務範囲は「投資部門の仕事以外全部」で、主にファイナンス(資金調達)、コーポーレート、経営企画、そして投資部門のアシスタントの4つの業務です。
コーポーレートには人事労務、IT、リーガル・コンプライアンス、経営企画には株主総会などの会社機関運営も含まれます。

まさにパートナーCFO業務そのものですね。今のポジションを得た経緯と、これまでの実績についてどのように自己評価されていますか。

パートナーCFO養成塾に参加する傍ら、会社経営に携わりたいということで次の仕事を模索してきたのですが、現在の会社は自分にぴったりあった業務だと思っています。比較的小規模の会社なので、経営の全体を良くみることができます。

仕事をする上で心がけていることはありますか。

着任当初は、なんといっても新任なのでまずは事実を把握し全体を俯瞰しなければと思い、アシスタントがやる仕事でもとりあえず自ら手を動かしていました。養成塾で習った「守りのCFOと攻めのCFO」でいうとまずは「守りのCFO」から着手しました。

自ら手を動かすというのは、やろうと思ってもなかなかできないと思います。

細かい部分もわかっていた方が的確な指示が出せますし、「この人、わかってるな」と思われることで信頼関係構築にもつながります。仕事上の「手触り感」は大事にしています。

ソニー創業者・盛田昭夫氏を知り経営に関心を持った大学時代

Tさんは一貫して金融業界でキャリアを積まれてきたそうですが、そもそもこの道に進まれたきっかけは何でしょうか。

きっかけは大学時代にさかのぼります。学生時代は勉学より体育会運動部の方に集中していたのですが、当時たまたま“ソニーの盛田昭夫さんが海外でビジネスを切り開く”という話を知り、かっこいいなと強く記憶に残りました。盛田さんへの憧れが、その後のMBA、現在の仕事、パートナーCFOに繋がっていきます。
学生時代の私は、盛田さんは「スーパーセールスマン」という認識でしたが、その後社会人として経験を積む中で彼は「スーパーCFO」でもあり、海外での訴訟などリーガル面でも実績を残しており、要は「マネジメント」をしているということがわかりました。

新卒で入社された大手金融機関を選んだ決め手は何だったのでしょうか。

就職活動中にOB訪問した際に自分と合う人が多いと思い、その金融機関に就職しました。
当時は、学生時代の経験から、自分が周りに勝てるなら営業かもしれない、と考えていたので「ここで頑張れば営業力が身につけられそう」だと思いました。それに、元々経営自体に興味があったので、顧客は会社オーナーが多いという点でも興味をもちました。

MBA留学で広がった海外への道:投資銀行部門や海外勤務

入社後のキャリアについて教えてください。Tさんは海外でMBAを取得されているそうですが、どのような背景があるのでしょうか。

金融機関の国内支店を経験したあとで、ビジネススクールに留学してMBAを取得しました。MBA留学をしたのは、先に述べたように、学生時代から“ソニーの盛田昭夫さんが海外でビジネスを切り開く”という話がすごくかっこいいなと印象に残っていて。
留学するまでは海外に触れる機会がなかったこともあり、実は当時はあまり英語が得意ではなく、授業はかなり苦労しました。しかし、このMBA留学で海外への道が開けたのは間違いなく、その後のキャリアに非常に役立ちました。

帰国後はどんなお仕事に就かれたのですか。印象的なエピソードもあれば教えてください。

投資銀行部門と海外勤務を経験しました。
特に海外のお客さまに対しては、彼らの日本のビジネスに関してお役に立てないかといつも四苦八苦しながらやっていました。自社と長くお付き合いのあるお客さまは、みなさん日本好きで、我々を気に掛けてくださる場面もありました。思い出深いです。

経営・マネジメントへの憧れから、CFOになるための武器を求めて養成塾へ

これまで伺ってきて、Tさんは国内、海外、様々な金融プロダクト、海外MBAと金融マンの中でもかなり豊富なキャリアだと思います。そんな中で養成塾を受講しようと思われたのはなぜですか。

もともとCFOや経営者、マネジメントに関して憧れや興味があったのですが、2021年頃ネットで「CFOとは」と検索していて、高森さんの本「中小・ベンチャー企業CFOの教科書」と出会いました。そこで、パートナーCFO養成塾のことを知り、翌2022年に受講しました。

養成塾を受講した理由は主に2つです。
1つは、自分のバックグラウンドファイナンスであり、CFOになるための明確な武器が欲しいと思ったこと。
2つめは、個人的にベンチャー企業の知り合いから資金調達の相談があったときに、満足に答えることができず非常に歯痒い思いをしたことです。

自分がキャリアで目指す方向と合っているなと思い、受講を決意しました。

養成塾のメリットはCFOの全体像が見えること。「背伸び」すればいい箇所がわかる

養成塾を受講してみていかがでしたか。

CFOの全体像が見えた、というのが私にとってかなり良かったです。
私は仕事の全体像が見えるまで物凄く不安を感じるのですが、一度全体が見えると、「(今はできていないが)ここを背伸びすればできるな」というのがわかるんです。

その表現は言い得て妙ですね。「背伸びをすればいいところがわかる」つまり、改善点が見える化できるというような意味でしょうか。

はい、そうです。もちろん本や独学でもわかる部分もありますが、養成塾ひとつひとつ、仲間とも議論をしながら実感していくというプロセスが自分にとって重要だったなと思います。
あとは、いろんなツールを実際にどれだけ使ったか、学習したことをどれだけ使い倒してこなれさせたか、が養成塾を受けた成果を出せるか否かの勝負の分かれ目だと思います。
私も実際に手を動かして使った部分については身に着いたと言えます。また、まだ使っていない部分についても「全体感がこうだから、ここをわかっておけば良い」と理解し、知識があるので、余計な迷いがなくなりました

CFOになるための武器」として、MBAと養成塾で扱う内容の違いはいかがですか。

MBAの科目はそもそも幅広いですし、私の場合は海外MB Aに通っている頃に、全科目をまんべんなく全力でやろうとしたためちょっと苦労した記憶があります。
養成塾は「よりCFOに必要なものに絞られた講座」だと思います。

CFOの勘所みたいなものが見えるようになったんですね。

はい。それが私にとっては大きいですね。

高森さんに学んだ「インプット⇒体系化⇒アウトプット」習慣を会社の業務にも活用

「全体像が見える」という点に関して追加すると、高森さん「ものごとを体系化して教える技術」は素晴らしく、なかなか真似できる人がいないと思います。
大量にインプットして、それらを体系化して教えて、更にアウトプットする機会を大量に作ってくれる。高森さんの域に達するのは難しいですが、養成塾の受講を進める中でインプットとアウトプットを習慣化できたことも大変良かったです。

仕事に役立てることができたのでしょうか。

現職に就いたとき、早い段階でPEファンドの経営管理の業務を見える化・体系化して課題を解決できたのは、養成塾で学び習慣化できていた成果です。
具体的には100を超える自分の担当業務を、「これは誰がやる、これはどういう意味があって、誰と一緒にやって」など見える化・体系化して、それをもとに自分で全部1回手を動かしてみました。最終的に自分が取り組むべき課題は30個弱だと判明し、一つ一つ潰していきました。
この調子だと「PEファンドのCFO版の8マトリックス」が書けそうだなと思えたので、それは次のステップでと考えています。

(参考)【中小・ベンチャーCFO8マトリックス®】

あとは、その日に会社で1 on 1ミーティングをやる予定であれば、養成塾のコーチングに関するスライドを読んでから出社するなど、資料は最大限活用しています。

養成塾での学びをとことん使い倒していますね。

まずはPEファンドの経営管理部門の業務高度化を。P-CFOは公私バランス良い働き方として中期的な選択肢

今後のご自身の展望についてお聞かせください。

キャリアの面では、まずは現職でPEファンドの経営管理部門の業務を高度化していきたいと考えています。
現職以外での将来像として、将来的にはPEファンドのパートナーCFOやCAO(Chief Administration Officer:最高総務責任者)もあり得ると考えています。日本のPEファンド業界が大きくなっていけばという前提はつきますが。
事業会社のCFOにも関心はありますが、パートナーCFOという働き方が出来ていれば将来的に介護と仕事の両立もできるのではないか、と考えることもあります。今は幸い親が元気なので、中期的な話ではありますが。

スキルアップの観点ではパートナーCFOとしての武器を磨くという目的から、ファイナンスをもっと深掘りしていきたいです。

ファイナンスに関してはMBA留学など、すでに十分深掘りされているように思われます。具体的にどのようなスキルアップを考えているのでしょうか。

具体的には、働きながら国内のMBA受講を検討しています。私が取得したのは15年以上前の話なのでアップデートしたい思いもありますし、養成塾の時にインプットとアウトプットの習慣が出来たのでその延長で考えるようになりました。
あとは事業再生、ターンアラウンドに関する講座も受けていきたい講座の一つです。

「自分の強みはどこ?」パートナーCFOの学びが、大企業サラリーマンの社内・社外で通じる武器となる

最後に、TさんはパートナーCFOや養成塾はどんな方におすすめだと思われますか。

私と同じように大企業に長く勤務している方、です。50代60代と人生の中盤後半で何かをやろうとしたときに、パートナーCFOというのはもの凄い武器になるし、自分のやり方次第でとても楽しく仕事ができるのではないかと思います。

例えば士業の方であれば自分の専門性や強みがはっきりしている部分があると思います。
ですが大企業では定期的に部署や役割、業務が変わることも多く「いろんな部署を経験しているものの、自分の武器はコレと自信をもって言えない」人私も含めて意外といるのではないでしょうか。そういう人にとって、養成塾は「自分の強みや武器となる軸」が作れるという点でいいかなと思います。

養成塾で学ぶ「中小・ベンチャー企業CFOの8マトリックス」を見て「どこに強みを持つか?」と考えた時に、「全部はできないので、どの3つか?」という観点で考えます。すると、どれかにご自分の強みを発見できるので、それが自分の軸を作ることにつながると思います。
私の場合は、ファイナンスを中心経営戦略・人組織にもこだわったパートナーCFOになりたいと考えていますが、今の仕事にも養成塾の学びを十分に活かして活動できています。
今の仕事に活かせて、自分の将来の働き方の幅が広がる、そういった意味では、費用対効果で考えても十分に満たせる、コスパもいい学びの機会だなと思います。

パートナーCFOは大企業サラリーマンにとっても、得るものが多いということですね。Tさん、ありがとうございました!

<編集後記>

私もTさんと同じ金融業界出身で、業務的に似通っている部分もあり、親近感を感じながらインタビューさせていただきました。
話しぶりは温和で、大手金融機関の営業畑出身というのが意外に感じるほどです。
しかし、物事の本質を掴んでそれを仕事に実践したいという探求心とやり遂げるガッツは、ひしひしと感じました。それが文章に少しでも表現できていれば幸いです。
ちなみにTさんは今年10月からブラジリアン柔術を習い始めるそう。ブラジリアン柔術でも、養成塾で学んだインプット・アウトプットを応用してくれるとこと期待しています!

取材・文:第2期生 森本哲哉
取材日:2023年5月30日