2024年4月29日

P-CFO 伊藤 直也さん

IPO経験ある会計士、P-CFOで顧客数倍増、チーム売上1億円へ。
農業・社会貢献を含めて描く未来

公認会計士・税理士・社外/パートナーCFO・農業CFO
伊藤 直也(いとう なおや)さん

今回ご紹介するのは、パートナーCFO養成塾の第6期生(2023年6月~11月)の伊藤直也さんです。
伊藤さんは、公認会計士・税理士としての専門性を活かし、教育系企業での経理責任者としてIPO実現の一翼を担い、さらに複業としてのコンサル先でもIPOに導いてこられました。現在は教育系上場会社でIPO後の経理責任者を務める傍ら、パートナーCFO・財務コンサルタントとして、クライアント27社と契約され、チームで支援を実施されています。
さらにビジネス面にとどまらず、農業経営者やコミュニティラジオ局のパーソナリティの顔も持ち多方面で活躍中です。
今回のインタビューでは、社内外からIPO経験を持つ伊藤さんがP-CFO養成塾を経てどのように変化してきたのか、また、パートナーCFOとしての実践内容とは何か、そして、これらの多彩な活動の先に描く社会貢献を含めた未来についてお伺いしました。

パートナーCFO 10社、財務コンサルタント 17社と契約し、年商1億円へ

会社員としては教育系上場会社の経理責任者としてIPO後の業務を担っていて、週1回火曜日に出社しています。月曜日は諸々の会議の日で、木~土曜日を社外CFO/パートナーCFOに充てています。
現在社外CFO/パートナーCFOとして10社財務コンサルタントとしては17社のクライアントを抱えています。
また、直近では今年2月に広島県の税理士さんと共同経営を始めました。「株式会社CGパートナーズ東京支店」を設立し、支店長に就任しました。そこではビジネスマッチングやコンサルティング活動を行っています。

他には、農業経営者としていちごやマンゴーなどの栽培をしたり、人と人を結び付けることが好きなので、同じ公認会計士でパートナーCFO 5期生の足立修平さんと「北関東士業の会」を作り、いろんな士業の方とも交流しています。
ですので、朝の時間や水曜日・日曜日などは農作業や営業活動、1 on 1ミーティングで様々な人と話す活動をしています。

【北関東士業交流会で司会をする伊藤さん】

私も含めて4人でシェアしながらやっています。税理士法人勤務時代に立ち上げた「一般社団法人 セカンドファミリー」という組織が受け皿になっています。元々は成年後見事業に取り組むために「第二の家族」という意味で組織名をつけていたのですが、そのまま使うことにしました。

この二つは、主に担当する業務とその頻度で区別しています。
財務コンサル先に対しては予実管理が中心で月1回2時間の会議を実施しています。
社外CFO/パートナーCFO先に対しては予実管理を含めた財務面でのチェックに加え、経営会議体への出席、銀行との交渉に同行、株主総会への出席などを行います。こちらは毎週2時間、何らかのアドバイスや支援を行う形です。

業種は、医療、IT、農業など様々で、現在IPOを目指している会社もあります。地域としては、東京、埼玉、群馬のほか、沖縄、鹿児島(奄美大島)、宮崎、福岡、高知、名古屋にもクライアントがいます。

私がクライアントを獲得して、他のメンバー3人に仕事を割り振っている形です。営業活動としては、こちらからいろんな方のお悩み解決に貢献(=Give)し、そのお返し(Give返し)でご紹介いただくという形でご縁が広がっていっています。
クライアント数が増加したのは、人とのつながりを大事にしていることの効果が大きいと感じています。

おかげさまで、このまま解約がなければ年商は1億円を達成できると思います。

働きながら公認会計士試験に合格。エンタメ系事業会社で上場企業の経理・会計実務を経験

私は大学卒業後に、株式会社TKCや埼玉県内の税理士法人に勤務しながら公認会計士試験に合格しました。公認会計士資格を得るには実務経験が必要だったため、エンターテイメント系の上場会社に転職しました。
そこでは経理部長として、監査法人対応やIFRS移行(会計基準へ国際財務報告基準を導入する)対応をやりました。特に大きな仕事だったのはM&Aで、売りも買いも両方の立場を経験しました。事業譲渡で得た資金を他の会社の買収に充当して、会社の業容を拡大していきました。

IPOに携わりたくて教育系事業会社に転職し、IPOを実現

IPO業務を経験したかった、というのが一番大きな理由です。
エンタメ系事業会社の仕事は非常にやりがいがあったのですが、すでに上場会社でしたので、IPO業務を経験することは叶いません。無理を承知で『どうしてもIPO業務をやりたい』と転職希望を出したところ、快く送り出していただきました。
エンタメ系事業会社とはその後も非常に親しくお付き合いさせていただいており、今ではパートナーCFOとしてアドバイスもさせていただいています。

教育系事業会社ではIPOを手掛けて、現在に至ります。

入社したのはN-2期の手前の時期で、CFOはすでに社内にいて、私は経理部長としてIPOに携わりました。CFOとはタッグを組んで社内整備・調整から監査法人など外部対応もやりました。直前期になるほど関係者が増えていき、証券会社、取引所、財務局、監査法人、社外取締役など、様々な関係者との調整が大変でした。
また上場承認を受けた後は、ロードショーで地方も含めて投資家周りをしたのですが、これは大変刺激になりました。投資家はどんなところに関心があるのかを考えて準備をして対応するのですが、我々からすると意外なところに注目していることもあり、大変勉強になりました。

【インタビュー中のショット。終始笑顔で、穏やかな口調です】

活動の原動力は東日本大震災の経験と難病の克服

まずは2011年の東日本大震災での経験です。
震災の影響で経営困難に陥ったり、つぶれてしまった会社やその経営者を見てきました。
自然災害による多大な影響の中で、苦境に陥る企業が多かったことは事実です。その中でも「会社にも経営者にもお金が残っていなくて、立て直せない」という現実に非常に衝撃を受けました。というのも、当時は、節税して利益トントンで決算を迎えるのが税理士の腕の見せ所と思ってやっていたからです。

震災後、節税だけでは会社経営は長続きしないと思い、きちんと利益を出して税金払ってお金を貯める財務コンサルの仕事をしようと思うようになりました。ところが、当時勤務していた税理士法人では財務コンサル業務は行っておらず、また自分自身もそれほど知識もなかったので、このままでは経営者に信頼してもらえないと考えました。
そこで、まずは経験を積むために事業会社の経理部門に転職し、さらにIPOまでできたらより一層信頼を得られるだろうという思いで仕事をしてきました。

もう一つは、2022年に夏に難病になったことです。
「自己免疫性溶血性貧血」という指定難病になり、人生初めての入院を経験しました。私の周囲の人間は死を覚悟したようですが、輸血で生き延びることができました。
そこで、一度しかない人生を楽しんで、この救われた命をみなさまにお返ししたいということで、何でもやってみることにしました。

幸い、私は今、優秀なチームメンバーや周りの人々に恵まれています。やるべきこと・やりたいことは多いですが、実務を担ってくれるメンバーがいるおかげで、あらゆることを実現できていると実感しています。

パートナーCFO養成塾は他の財務系セミナーにない特徴

先生業を養成するスクール「志師塾」代表の五十嵐和也さんから推奨されたことが大きいです。志師塾では「年商1億円を目指すなら一人では無理で、組織づくりを考えないといけない」と言われて、その道を模索していました。実は他の財務系のセミナーは色々見てきたのですが、中小企業のみをターゲットとしたものでは年商1億円のイメージが持てずに物足りなさを感じていました。
そんな折、五十嵐さんから「パートナーCFO養成塾」についてご紹介いただきました。

ちょうどIPOを目指すクライアントも抱えており、パートナーCFO養成塾では、IPOを目指すためのロードマップや、CFOとして必要な人事労務HR分野も体系的に学べるということ、そして養成塾修了後の「パートナーCFOサロン」で一流の経営者の講演を聞くことができる機会がある、ということで受講を決めました。

実は、指定難病で入院しているときに、高森代表の「中小・ベンチャー企業CFOの教科書」は読んでいました。体力的にも、今後はフルタイムのサラリーマンを続けていくことはもうダメだと思い、次の道を探す中で手にした中の1冊です。
あの本を書いた高森さんのコースだったら面白そうだと思ったので、第6期の締め切り直前に申し込みました(2023年6月スタート)。

やはり、IPO関連や人事労務HR分野までカバーしているところはパートナーCFO養成塾以外にはないと思います。

養成塾で今までやってきたことに自信を持てた。クライアントは受講中に倍増

経営者と同じ立場で組織を回す、そのことが結果的に経営者マインドと同じになって、経営者の気持ちがより分かり合えるようになったと思います。
大震災以降、「経営者に寄り添う」ということは特に意識してきましたが、養成塾を経てさらに自信を持てたというか、「やっていることは間違ってなかったな」というのは改めて感じました。
同期生にもそういうマインドを持った方もいて、そんな方々と議論をしていく中で「手探りでやってきたけれど、やっぱり間違ってなかったな」と、確信と自己理解が深まりました。

クライアントも受講前は13社くらいでしたが、講義が進むにつれて新規先が増えて結果的に現在の27社になりました。

【P-CFO養成塾の同期たちと高森代表。養成塾最終日の一枚】

パートナーCFO協会では「ストレスのないIPO」実現の支援をしたい

私はIPOについては、会社員として1件、社外のコンサルとして1件、計2件の実現に貢献してきました。実務に携わった人間ならではの経験をぜひ共有していきたいです。

たとえば、直前期の様々な関係者(証券会社、取引所、財務局、監査法人、社外取締役等)に振り回された場合でも、早期に対策を立てることができれば、慌てることなく、だいぶストレスが減ると思います。そんな「ストレスのないIPO」実現のための支援ができたらいいですね。

さらに、投資家向けロードショーでも、投資家たちに興味をもってもらうためのアピールの仕方などの事例も共有できると思います。

10年後のビジョンは、ビジネスで稼いで子供たちのために投資すること

まず目下の目標は、現在のクライアントの解約がないことですね。そして、今後自分のチームメンバーを増やして育成し、クライアント先をあと5件増やしたいです。

10年先のビジョンとしては児童養護施設を作ることです。実はこれまでに述べてきた活動の他に、現在プライベートでは、子供に関する様々なボランティアに参加して勉強しているところでもあります。

土地を仕入れて建物を建て、そこの子供たちには私の農園で作ったものを含めて栄養によい食べ物を提供したいです。昔ながらの遊びなどいろんな経験値を積んでもらい、子供たちに夢や希望を与えられる場を提供したいと考えています。児童養護施設といっても親御さんがいる家庭の子供たちも利用できたり、みんなで楽しめる場を作りたいですね。

このような事業はお金がかかるので、パートナーCFOでがっちり稼いだお金を回すという、そんなビジョンを描いています。

パートナーCFOとして知識だけでなく経営者マインドも教えてくれる

養成塾では、パートナーCFOとして知識だけでなく経営者マインドも教えてくれます。
また、普段はなかなか接することが出来ない優れた仲間が同期で仲良く、かついろんな相談に乗ってもらえます。
知識面では、財務会計だけでなく人事労務HRなどのパートナーCFOで直面する経営者からの課題に対して、どう対峙していくのかをしっかりと学べる講座です。
興味ある方はぜひ受講してみてください。パートナーCFOの活動が世の中に広がっていけばいいなと思います。

伊藤さん、本日はありがとうございました!

【伊藤 直也さんプロフィール】
公認会計士、税理士
一般社団法人 セカンドファミリー 代表理事 https://secondfamily798.com/

埼玉県出身。大学卒業後、税理士事務所等で働きながら公認会計士試験に合格。エンターテイメント系事業会社の経理部長としてM&Aに携わり、その後教育系の会社に経理部長として転職しIPOを実現させた。現在はその教育系会社に所属しながら、副業としてパートナーCFOや、妻の実家(農家)でイチゴやマンゴーを栽培するなど、非常に多彩な活動をしている。YouTubeでの情報発信も活発。熱心な西武ライオンズファン。

FMぎのわん(沖縄県宜野湾市のコミュニティラジオ局)
放送:毎週土曜日14時~14時30分 番組名:「GIVE. GIVE. GIVE」
https://fmginowan.com/
YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/@givegivegive514

<編集後記>
伊藤さんの活動は多岐にわたりますが、その向上心と他者への貢献意欲の高さには頭が下がります。IPOの経験を日本パートナーCFO協会で共有してくださることも、ぜひこれから楽しみにしています!
伊藤さんのエネルギーがあれば、ビジョンであるパートナーCFO事業、農業、自動養護施設事業の好循環が生まれることを間違いないと思います。応援しています!

<取材・文>第2期生 森本哲哉
取材日:2024年3月15日